プロペシア長期服用の安全性は?10年後の影響を考える | AGA・抜け毛・薄毛治療のAGAメディカルケアクリニック【公式】

プロペシア長期服用の安全性は?10年後の影響を考える

更新日
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監修医師

前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

【経歴】

  1. 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
  2. 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
  3. 大手AGAクリニック(院長)を経て、薄毛・AGA治療の2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
  4. 2020年に2院目となるAGAメディカルケアクリニック横浜院を開設
  5. 2023年に3院目となるAGAメディカルケアクリニック東京八重洲院を開設

【資格】

  1. 医師免許
  2. ⽇本医師会認定産業医
  3. 医学博士

【所属学会】

  1. 日本内科学会
  2. 日本美容皮膚科学会
  3. 日本臨床毛髪学会

【症例数】

  1. 3万人以上※
  2. ※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数
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前田 祐助

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プロペシア(フィナステリド)は、男性型脱毛症(AGA)の治療薬として広く使用されており、服用開始から効果が実感できるまでには数ヶ月から半年程度を要するため、長期的な服用が必要です。

ただ、「長期服用によって副作用のリスクが高まったり効果が弱まったりするのではないか」といった不安を抱える人も少なくありません。加えて、服用中止後の身体への影響についても関心が高まっています。

プロペシア長期服用の副作用リスクは?10年後の身体への影響

プロペシアを長期服用する場合、男性型脱毛症の治療効果が期待できる反面、様々な副作用のリスクが伴います。性機能障害や肝機能への影響、男性ホルモン低下による身体的変化、精神的な副作用など、10年後の身体への影響は無視できません。

長期服用のメリットとデメリットを十分に理解し、定期的な健康チェックを行いながら、慎重に判断することが求められます。

プロペシアの長期服用と性機能障害

プロペシアは男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制して薄毛の進行を防ぎますが、同時に性機能にも影響を及ぼします。

性欲減退や勃起不全といった症状は、服用開始後数か月から数年で現れます。中には服用を中止しても症状が改善しないケースも存在し、長期的な影響が危惧されます。

症状発現率
性欲減退1.8%
勃起不全1.3%

性機能障害の発現率は比較的低いものの、生活の質に大きく関わる問題です。

肝機能への影響と定期的な検査

プロペシアは肝臓で代謝されるため、長期間にわたって服用を続けると肝臓に負担がかかります。

肝機能障害の症状としては、以下のようなものがあります。

  • 倦怠感
  • 食欲不振
  • 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる症状)

肝機能への影響を早期に発見するためには、定期的な血液検査による観察が重要です。長期服用を続ける場合は、半年に1回程度の頻度で血液検査を受けます。

男性ホルモン低下による身体変化

プロペシアの作用は薄毛の進行を抑制すると同時に、体内の男性ホルモンバランスに影響を与えて様々な身体的変化をもたらします。

男性ホルモンは筋肉の維持や骨の強度に重要な役割を果たしているため、筋肉量や骨密度への影響があります。

  • 筋力の低下
  • 体脂肪率の増加
  • 骨密度の減少

影響を最小限に抑えるためには、バランスの取れた食事と適度な運動を心がけましょう。筋力トレーニングやウェイトベアリング運動(骨に適度な負荷をかける運動のこと)は、筋肉量の維持と骨密度の向上に効果的です。

また、定期的な骨密度検査を受けると、骨粗鬆症(こつそしょうしょう:骨がもろくなる病気)のリスクを早期に発見できます。必要に応じて、カルシウムやビタミンDのサプリメント摂取も有効な対策です。

精神的な副作用

プロペシアの長期服用に伴う精神的副作用として、うつ病や不安障害などの発症リスクが指摘されています。精神的な症状は、男性ホルモンの変動や薬剤の直接的な影響が原因です。

  • 気分の落ち込み
  • 不安感の増大
  • 集中力の低下
  • 睡眠障害

精神的な副作用が現れたときは医師に相談し、場合によっては服用の一時中止や減量、別の治療法への切り替えを検討します。

長期服用を続ける場合は身体的な健康だけでなく、精神的な健康にも十分な注意を払い、定期的な健康診断や心理カウンセリングの利用も予防的な対策として検討する価値があります。

10年以上の継続使用で見られるプロペシアの効果と耐性

ここでは、10年以上の継続使用による発毛効果の持続性、副作用の種類と頻度、薬効の減弱と耐性の可能性、毛髪以外への影響、そして治療効果を持続させるためのポイントについて解説します。

長期服用による発毛効果の持続性

プロペシアの長期服用では、多くの方で発毛効果の持続性が確認されています。10年以上の継続使用により薄毛の進行を効果的に抑制し、既存の毛髪を維持する効果が期待できます。

とはいえ、年齢や遺伝的要因、生活習慣などが影響を与えるため、効果には個人差があるのも事実です。

効果の持続性患者の割合
高い約70%
中程度約20%
低い約10%

長期服用による効果を最大限に引き出すためには、医師の指示に従って正しい服用方法を守ることが重要です。

また、定期的な経過観察を行い、必要に応じて治療方針の見直しも有効です。

10年以上の使用で現れる副作用の種類と頻度

プロペシアの10年以上の使用では、短期使用時と比較して新たな副作用が現れるケースがあります。

副作用発生頻度
性機能障害1-2%
乳房腫大0.5-1%
うつ症状0.3-0.5%
精子数減少0.1-0.3%

副作用の多くは服用を中止すると改善しますが、一部の方では服用中止後も症状が持続するケースがあるため注意します。

長期間の服用による薬効の減弱や耐性

プロペシアの長期服用に関して、薬効の減弱や耐性の可能性については、現在のところ明確な科学的証拠は限られています。

耐性がつくような薬ではないので多くの方で10年以上の使用でも効果が持続するとされていますが、個人差が大きいのが特徴です。

効果の持続性患者の割合
維持約80%
減弱約15%
不明約5%

薬効が減弱する要因としては、以下のようなものが考えられます。

  • 年齢による自然な毛髪の変化
  • ホルモンバランスの変化
  • 生活習慣の変化

耐性の発現については現時点で明確な証拠は示されていませんが、長期使用に伴い、体内での薬物代謝が変化する可能性があります。

プロペシアの長期服用が及ぼす毛髪以外への影響

プロペシアの長期服用は毛髪以外の身体機能にも影響を与える可能性があり、特に男性ホルモンの代謝に関わる部分での影響が注目されています。

前立腺への影響については、長期服用によって前立腺がんのリスクが低下する可能性が示唆されています。

骨密度への影響も報告されており、一部の研究では長期服用による骨密度の低下が指摘されています。ただし、臨床的に問題となるレベルではないとする見解も多く、見解が分かれています。

影響部位主な影響
前立腺がんリスク低下の可能性
骨密度わずかな低下の可能性
肝機能顕著な影響なし
腎機能顕著な影響なし

長期服用中は、これらの影響を考慮し、定期的な健康診断を受けるようにします。特に、前立腺検査や骨密度測定などを含めた総合的な健康チェックが重要です。

治療効果を持続させるためのポイント

プロペシアは医師の指示通りに毎日決まった時間に服用すると、体内の薬物濃度を一定に保てます。

定期的な経過観察と医師との相談が重要で、副作用の有無や効果の持続性を確認して、必要に応じた治療方針の調整が大切です。

また、健康的な生活習慣の維持も効果の持続に寄与します。バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠などが、全身の健康維持と共に毛髪の健康にも良い影響を与えます。

ポイント具体的な行動
規則的な服用毎日同じ時間に服用
経過観察3-6ヶ月ごとの医師の診察
生活習慣バランスの良い食事と運動
ストレス管理リラックス法の実践

これらのポイントを意識しながら長期服用を継続すると、プロペシアの治療効果を最大限に引き出して持続できます。

長期服用後のプロペシア中止による身体への影響は?

さいごに、プロペシアの長期服用後に中止した場合の、身体への影響を解説します。

服用中止後の脱毛の再発リスクと時間経過

プロペシアの服用を中止すると薬物の効果が徐々に失われ、脱毛の再発リスクが高まります。一般的に、中止後3〜6ヶ月程度で効果が減少し始め、1年以内に治療前の状態や治療前よりも脱毛が進行した状態になります。

年齢や遺伝的要因、生活習慣などによって、脱毛の進行速度は異なります。

経過期間脱毛の状態
0〜3ヶ月効果維持
3〜6ヶ月効果減少
6〜12ヶ月再発進行

長期服用後に中止した場合、短期間の使用と比較して効果の持続期間が長くなる傾向にあります。これは、長期間の使用によって毛包が強化され、DHT(ジヒドロテストステロン)の影響を受けにくくなっているためです。

とはいえ、完全に脱毛が止まるわけではないため、中止後も定期的な頭皮の状態チェックが欠かせません。

中止後に副作用が改善するまでの期間

プロペシアの副作用は、服用中止後比較的早い段階で改善します。多くの場合、数週間から数ヶ月程度で症状が軽減または消失します。

副作用改善期間の目安
性機能障害1〜3ヶ月
精神症状2〜6週間
乳房腫大3〜6ヶ月

ただし、一部の方では、服用中止後も長期間にわたって副作用が持続する「ポストフィナステリド症候群」と呼ばれる状態が報告されています。症状が続くときには、専門医へ相談してください。

長期服用後の中止が男性ホルモンレベルに与える影響

プロペシアを長期服用後に中止すると、DHTへの変換阻害作用が解除されるため男性ホルモンレベルに変化が生じます。

ホルモン中止後の変化
DHT上昇
テストステロン微減
エストロゲンバランス変化

これらの変化は通常、数週間から数ヶ月かけて徐々に起こり、最終的には服用前の状態に戻ります。ただ、長期服用によってホルモンバランスが大きく変化していたケースでは、元の状態に戻るまでに時間がかかります。

また、ホルモンレベルの変動に伴い、気分の変化や体調の変化を感じる方もいます。

プロペシア中止後も経過観察を行う重要性

脱毛の再発状況や副作用の改善度合い、全身の健康状態などを的確に評価して必要に応じた対応をとるために、プロペシア中止後は経過観察が不可欠です。

観察項目チェックポイント
頭皮状態脱毛進行、毛髪生育
副作用改善性機能、精神状態など
全身健康状態体調変化、不調の有無
血液検査ホルモン値、肝機能など

経過観察の頻度は、中止直後は1〜2ヶ月ごと、その後は3〜6ヶ月ごとが目安です。

また、自己判断での再開は避け、必ず医師と相談の上で今後の方針を決定します。場合によっては、代替療法や他の治療法の検討も必要です。

プロペシアの長期服用後の中止は身体に様々な影響を与えますので、脱毛の再発リスクや副作用の改善、ホルモンバランスの変化など、多岐にわたる要素を考慮しながら慎重に対応することが求められます。

参考文献
CRANWELL, William; SINCLAIR, Rodney. Male androgenetic alopecia. 2015.
CHIRIACÒ, GIOVANNI, et al. An observational retrospective evaluation of 79 young men with long‐term adverse effects after use of finasteride against androgenetic alopecia. Andrology, 2016, 4.2: 245-250.
SHAPIRO, Jerry; KAUFMAN, Keith D. Use of finasteride in the treatment of men with androgenetic alopecia (male pattern hair loss). In: Journal of Investigative Dermatology Symposium Proceedings. Elsevier, 2003. p. 20-23.
MELLA, José Manuel, et al. Efficacy and safety of finasteride therapy for androgenetic alopecia: a systematic review. Archives of dermatology, 2010, 146.10: 1141-1150.
ASFOUR, Leila; CRANWELL, William; SINCLAIR, Rodney. Male androgenetic alopecia. Endotext [Internet], 2023.
HO, Roger S. Ongoing concerns regarding finasteride for the treatment of male-pattern androgenetic alopecia. JAMA dermatology, 2021, 157.1: 25-26.

前田 祐助

この記事の監修者
AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴

  1. 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
  2. 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
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