テストステロンとは何か - 男性ホルモンと薄毛の関係 | AGA・抜け毛・薄毛治療のAGAメディカルケアクリニック【公式】

テストステロンとは何か – 男性ホルモンと薄毛の関係

更新日
テストステロンとは何か – 男性ホルモンと薄毛の関係
前田 祐助
監修医師

前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

【経歴】

  1. 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
  2. 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
  3. 大手AGAクリニック(院長)を経て、薄毛・AGA治療の2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
  4. 2020年に2院目となるAGAメディカルケアクリニック横浜院を開設
  5. 2023年に3院目となるAGAメディカルケアクリニック東京八重洲院を開設

【資格】

  1. 医師免許
  2. ⽇本医師会認定産業医
  3. 医学博士

【所属学会】

  1. 日本内科学会
  2. 日本美容皮膚科学会
  3. 日本臨床毛髪学会

【症例数】

  1. 3万人以上※
  2. ※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

統括院長プロフィール詳細

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男性ホルモンとして代表的なテストステロンは、体内のさまざまな働きに影響を与える重要な要素です。

特にAGA(男性型脱毛症)や薄毛に関心を持つ方にとって、男性ホルモンと髪の関係は気になる話題ではないでしょうか。

この記事ではテストステロンと薄毛の関係を中心に、男性ホルモンがどのように体に影響し、どのようにヘアケアや治療に結びつくのかを解説します。

テストステロンの基礎知識

テストステロンは、男性にとって大切なホルモンの1つです。はじめに、テストステロンとはどのような物質なのか、どこで作られ、どんな役割を担うのかを概観していきます。

日常生活や健康維持にどのように関与しているかを確認すると、薄毛との関係もより明確に捉えられます。

テストステロンとは

テストステロンとは、主に男性の精巣(ライディッヒ細胞)で作られるホルモンで、思春期以降の男性らしさに大きく寄与します。

たとえば、声変わりや筋肉量の増加、骨格の発達などはテストステロンの作用が深く関わっています。

女性にも少量存在しますが、男性の体内に比べると量は大幅に少なくなります。

テストステロンが正常に分泌されると、エネルギー代謝や性欲、筋肉の維持など、多方面で影響を与えます。逆に不足すると、疲労感や意欲低下などがみられる場合があります。

テストステロンの一般的な濃度目安

男性の体内におけるテストステロン濃度は、年齢や個人差によって変化しますが、一般的には下記のような目安になります。

年齢層総テストステロン平均値(ng/dL)主な特徴
10代~20代600~800筋肉・骨格の発達が活発
30代~40代400~600仕事や家庭生活が軌道に乗る時期
50代~60代300~500加齢による徐々な減少がみられる
70代以降200~400体力や性欲の低下が顕著になる

年齢を重ねるとともにテストステロンは低下し、体調や意欲にも変化が生じやすくなります。

ただ、日々の生活習慣や食事、睡眠などによって個人差があるので、一概に「○○歳だからこの値が当てはまる」とは言い切れません。

テストステロン低下の影響

テストステロンが低下すると、身体的な症状と精神的な症状が現れやすくなります。

身体面では筋力の低下や体脂肪の増加など、精神面では意欲や集中力の低下、気分の落ち込みなどに直結します。また、性欲減退もよく耳にする症状の1つです。

こうした変化が生活の質に影響を及ぼすため、健康管理の観点からもテストステロンを維持する工夫が必要です。

テストステロンの生合成と分解

テストステロンはコレステロールを原料にして作られます。男性の精巣が主な産生場所ですが、副腎皮質などでも少量合成されます。

分解は肝臓などで行われるほか、一部が強力な男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)に変換されます。

DHTは男性型脱毛症の主な原因といわれているため、薄毛との関係を考えるうえで重要な視点です。

テストステロンの調節機構

脳(視床下部や下垂体)がホルモン分泌を調整し、体内でテストステロンを適切に産生するように指令を出します。この調節機構がスムーズに働くことで、男性ホルモンのバランスが保たれます。

しかし、ストレスや生活習慣の乱れによって指令系がうまく働かない場合があります。その結果、男性ホルモンの低下や過剰分泌などが起きやすくなり、さまざまなトラブルの一因となるのです。

男性ホルモンと髪の生理学的関係

テストステロンをはじめとする男性ホルモンは、髪の毛の成長周期に深く関わっています。

ここでは男性ホルモンと毛周期、そしてAGAの仕組みを解説し、薄毛や脱毛のメカニズムを整理します。

毛髪の成長周期と男性ホルモン

毛髪は成長期、退行期、休止期というサイクルを経て伸びたり抜けたりします。成長期にしっかりと毛根が栄養を吸収し、髪を太く長く成長させることが望ましい状態です。

男性ホルモンであるテストステロン自体は、髪の成長に対して大きな悪影響を与えないと考えられています。

しかし、テストステロンが5αリダクターゼという酵素によってDHTに変換されると、毛根を萎縮させる原因となるとわかっています。

男性ホルモンと毛周期

毛周期主な特徴男性ホルモンの影響
成長期毛母細胞が盛んに分裂し、髪が太く長く伸びるテストステロンが適度に存在することで健康的な状態を維持しやすい
退行期毛母細胞の分裂が停止し始め、毛根が小さくなるDHTの影響が高まると毛根が萎縮しやすい
休止期次の新しい髪が生え始める準備段階男性ホルモンのバランスが乱れると正常周期が乱れることがある

DHTが増えすぎると毛の成長期が短くなり、早期に退行期へ移行する傾向があります。その結果、髪が十分に太くなる前に抜けてしまうため、薄毛や抜け毛が顕在化します。

AGA(男性型脱毛症)の仕組み

男性型脱毛症は、テストステロンが変換されたDHTが原因物質として大きな役割を持ちます。

DHTは毛根内部の受容体に結合し、毛髪を成長させる指令を妨害するため、髪の成長が抑制されたり、毛周期が乱れやすくなります。

この仕組みによって前頭部や頭頂部の髪が細くなり、抜け毛が進行しやすいという特徴がみられます。

AGA以外の薄毛との違い

脱毛にはさまざまな原因がありますが、男性ホルモンが関わるパターンはAGAが代表的です。

円形脱毛症や甲状腺疾患などが原因の場合は、ホルモンバランスよりも自己免疫や内分泌系の異常、栄養状態などが深く関係しているケースがあります。

そのため、男性ホルモンが関与しているかを把握することが、薄毛の原因を見極めるうえで大切なポイントといえます。

5αリダクターゼの存在意義

DHTへ変換する酵素として注目される5αリダクターゼには、種類が複数あります。これらが存在することで性質の異なる男性ホルモンが生まれ、体の多様な調整を助けていると考えられています。

その一方で毛根へのダメージを引き起こす要因にもなるため、AGA治療では5αリダクターゼを抑制する薬が広く用いられます。

テストステロンとDHTのバランスへの理解が薄毛対策には重要です。

テストステロンと生活習慣

男性ホルモンのバランスは、生活習慣によって大きく左右されます。

規則正しい食事や運動、睡眠などがテストステロンを維持するのに役立つ一方、乱れた生活習慣はホルモン低下を招き、薄毛のリスクを高める可能性があります。

運動と筋トレの重要性

筋トレなどの無酸素運動はテストステロン分泌を促す要因の1つです。

特に大きい筋肉群(下半身など)を刺激すると、より効果的に筋肉を成長させ、男性ホルモンをサポートしやすくなります。

適度な運動は体脂肪を減らし、代謝を高めることにもつながります。

過度な運動や極端なダイエットは逆にストレスホルモンが増え、テストステロンを下げる恐れがあるため、バランスが大切です。

運動を行う際の心がけ

  • 大筋群を中心とした筋トレを週2~3回程度行う
  • 有酸素運動はウォーキングやジョギングなど、負荷の軽いものを適度に
  • 過度な食事制限は控え、タンパク質を意識して摂取する
  • 適度な休息を入れてオーバートレーニングを防ぐ

運動によってテストステロンを底上げするイメージを持つと、身体づくりと薄毛対策の両方を意識しやすくなるでしょう。

食事と栄養バランス

テストステロン産生には亜鉛、タンパク質、ビタミンD、ビタミンB群などの栄養素が重要です。特に肉や魚、卵、大豆製品などに含まれる良質なタンパク質を意識すると、筋肉維持やホルモン合成にもプラスに働きます。

過剰な脂質や糖質の摂取は肥満につながり、テストステロンの低下リスクを高める可能性があるので注意しましょう。

テストステロン維持につながりやすい栄養素

栄養素主な食品例期待できる作用
タンパク質肉、魚、卵、大豆製品筋肉の合成やホルモン合成の材料
亜鉛牡蠣、レバー、牛肉テストステロン産生に関与
ビタミンD魚類、きくらげカルシウム吸収やホルモンバランスの維持に寄与
ビタミンB群豚肉、緑黄色野菜エネルギー代謝や細胞機能の調整

健康的な身体づくりが、結果的に髪への栄養供給にも好影響をもたらします。栄養が不足すると毛母細胞の活性が下がり、薄毛のリスクが高まる場合があります。

ストレスとホルモンバランス

過度なストレスや睡眠不足はストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を高めます。コルチゾールが増えると、男性ホルモンの分泌を抑制する作用が高まりやすくなります。

仕事やプライベートで忙しく感じる時期は意識してリラックスの時間を作り、ホルモンバランスを乱さない工夫が大切です。深い睡眠はホルモン分泌にも好影響を与えます。

生活習慣がもたらす薄毛リスク

生活リズムが乱れるとDHTの増加を間接的に助長するケースがみられます。

例えば夜更かしや偏った食事は血行不良につながり、頭皮への栄養供給が滞りやすくなります。その結果、毛髪の成長サイクルが乱れるリスクが高まります。

テストステロンの適切な維持と、血流や栄養面のサポートが薄毛対策では重要だといえるでしょう。

AGA治療とテストステロン

テストステロンと薄毛の関係を理解すると、AGA治療における考え方も明確になります。

ここでは一般的なAGA治療で使用する薬剤や治療法、テストステロンの関係性などを紹介します。

AGA治療の概要

AGA治療では、DHTの生成を抑制する内服薬や頭皮の血行を促進する外用薬などが用いられるケースが多いです。

特に5αリダクターゼを抑制する働きをもつ薬剤は、DHTの過剰生成をコントロールし、脱毛進行を緩やかにするのを目的とします。

AGA治療薬の特徴

薬剤名主な作用内服/外用
フィナステリド5αリダクターゼII型を阻害しDHT生成を抑制内服
デュタステリド5αリダクターゼI型・II型を同時に阻害内服
ミノキシジル頭皮の血行を促進し、毛母細胞の活性をサポート外用または内服

フィナステリドやデュタステリドなどはテストステロン自体を減らすわけではなく、DHTへの変換を抑えることで脱毛の進行を緩和します。

ミノキシジルは発毛を促すサポートとして用いられるのが一般的です。

テストステロン量とAGA治療の関係

「テストステロンが高いと薄毛になる」と思われがちですが、重要なのはDHTへの変換の程度です。

AGA治療薬はテストステロンそのものをなくすのではなく、5αリダクターゼの働きを制限し、DHTを過度に増やさないようにする仕組みです。

そのため、「男性ホルモン=悪」という一面だけで捉えず、テストステロンは適正な範囲で体の健康や活力を保つうえで欠かせないホルモンという認識が大切です。

治療期間と効果の目安

AGA治療は、数週間から数カ月で劇的な変化を期待するのは難しく、少なくとも半年以上継続して効果を判断することが多いです。

毛周期のサイクルがあるため、治療を始めてもすぐには発毛が顕在化しない場合もあります。

ただし、途中で薬をやめると再びDHTが増えて脱毛リスクが高まる可能性があるため、医師と相談しながら治療を続けましょう。

治療継続に関して押さえておきたい点

  • 早期に始めるほど脱毛進行を抑えやすい
  • 病院やクリニックで定期的に検査を受ける
  • 治療と併せて生活習慣の改善を図る
  • 投薬を自己判断で中断しない

無理のない範囲で継続し、経過をしっかり観察しながら進めることが効果を得るコツです。

AGA治療での副作用リスク

AGA治療薬は比較的安全性が高いとされていますが、少数ながら副作用を感じるケースもあります。

主に性欲減退や勃起機能の低下などが報告されていますが、テストステロンの低下というよりもDHTや関連ホルモンバランスの変化が原因であると考えられます。

気になる症状がある場合は医療機関に相談し、適切な対処を検討しましょう。

テストステロン維持・向上のための具体策

薄毛対策や体力維持のためには、テストステロンを意識した生活習慣が大切です。日々の過ごし方に少しの工夫を取り入れると、男性ホルモンのバランス維持に役立つ可能性があります。

十分な睡眠と休養

睡眠時には成長ホルモンの分泌が増え、疲労回復や身体機能の調整が進みます。

テストステロンは主に朝方に高くなるため、睡眠リズムが乱れるとその分泌サイクルにも影響が出る可能性があります。

仕事や生活のリズムに合わせて、質の高い睡眠を確保すると良いです。

睡眠とテストステロンの関係

睡眠時間テストステロンへの影響備考
6時間以下分泌リズムが乱れやすくなる慢性的な寝不足はホルモンバランスを乱す
7時間程度多くの人にとってバランスが取りやすい個人差はあるが安定しやすい
8時間以上過度な睡眠は逆に体がだるさを感じる場合も質を伴わない長時間睡眠は注意が必要

自分に合った睡眠時間を把握し、生活リズムに合わせてベストな形を模索するのが望ましいでしょう。

適度な有酸素運動

有酸素運動は血液循環を改善し、頭皮への栄養供給を高める可能性があります。

筋トレを取り入れつつ、有酸素運動も適切に組み合わせると心肺機能の向上や体脂肪の減少に役立ち、テストステロンの低下を防ぎやすいと考えられます。

ただし、あまりに長時間の激しい有酸素運動はストレスホルモンを増加させる場合があるため、適度な運動量を意識するとよいでしょう。

禁酒・節酒や禁煙の意義

過度なアルコール摂取は肝機能に負担をかけるほか、テストステロンの代謝バランスを崩しやすいといわれています。喫煙は血管を収縮させ、血流を悪化させるため頭皮や筋肉への栄養供給を妨げる恐れがあります。

ほどほどの酒量や禁煙を目指すと、男性ホルモンを維持するうえでもプラスに働くでしょう。

  • 肝臓への負担を減らしテストステロン代謝を整えやすい
  • 睡眠の質を高め、夜間のホルモン分泌リズムを守る
  • 体重や体脂肪をコントロールしやすくする
  • 血圧や血糖値の安定にもつながる

完全に禁酒が難しい場合でも、量や頻度を見直すだけでホルモンバランスが改善するケースがあるため、まずは週に数日の休肝日をつくるのがおすすめです。

サプリメントの活用

基本的には食事から栄養を摂取することが望ましいですが、忙しいときや食事内容が偏りがちなときはサプリメントを利用して亜鉛やビタミンDなどを補給する方法も考えられます。

過剰摂取にならないよう、用法用量を守りながらうまく活用するとテストステロン維持に役立つ可能性があります。

薄毛治療とセルフケアの両立

AGA治療だけでなく、日々のセルフケアでも髪と頭皮の健康をサポートしましょう。治療とセルフケアが相乗的に働くと、効果の向上や再発リスクの低減が期待できます。

頭皮環境を整える方法

頭皮環境が乱れると、髪の成長に支障が出ます。皮脂の過剰分泌や汚れが毛穴をふさいでしまうと、髪が抜けやすくなったり、新しい髪が生えづらくなります。

シャンプーの選び方や洗髪方法を見直し、清潔かつ適度に保湿された頭皮を保つ工夫が薄毛の対策につながります。

頭皮ケアアイテム

アイテムタイプ主な特徴選ぶときのポイント
薬用シャンプー抗炎症作用や抗菌作用のある成分が配合されている頭皮トラブルがある場合に検討
ノンシリコンシャンプー毛穴詰まりを防ぎやすい髪のきしみが気になるなら保湿成分入りを選ぶ
スカルプエッセンス血行促進成分や栄養成分を含む頭皮マッサージを併用すると効果を感じやすい

健やかな頭皮を保つと、AGA治療薬との相乗効果で抜け毛が減り、髪のコシやハリを取り戻しやすくなる場合があります。

適度な頭皮マッサージ

頭皮マッサージはリラクゼーション効果だけでなく、頭部の血行をよくする面でも注目されています。

シャンプーの際や風呂上がりに、指の腹で頭皮を押しほぐすように行うと頭皮が柔らかくなり、栄養が行き渡りやすくなります。

ただし、爪を立てて強くこするのは逆効果になりやすいので避けましょう。

医療機関での検診とセルフチェック

AGA治療を受けている場合は定期的な通院で効果測定を行い、ホルモンバランスの変化や副作用の有無をチェックします。

治療を受けていなくても「抜け毛が多い」「髪が細くなってきた」と感じる場合は、早めに医療機関の受診を検討すると進行を抑えられる可能性があります。

自分で月に1回ほど頭頂部や生え際を鏡やスマホの写真でチェックし、変化を見逃さない工夫をすると安心です。

簡易的に確認できるポイント

  • 生え際が以前より後退していないか
  • 頭頂部の地肌が透けて見えていないか
  • 髪のハリやコシが著しく低下していないか
  • 抜けた髪の毛が細く、短い状態が多くないか

小さな変化でも見逃さずに気づくと、薄毛が大きく進行する前に対処しやすくなります。

クリニックとの連携

AGAクリニックや皮膚科での治療を検討する際、生活習慣やセルフケア情報を医師と共有すると、適切な治療プランを組み立てやすくなります。

血液検査でテストステロン値やその他の項目を確認し、治療効果の有無や副作用のリスクを総合的に判断すると良い結果につながりやすいでしょう。

テストステロンを意識した加齢対策

年齢を重ねるにつれてテストステロンは減少する傾向がありますが、生活の工夫や適切な医療ケアによって年齢相応の健康と髪の状態の維持がめざせます。

加齢による男性ホルモン低下と症状

加齢とともに体の機能が少しずつ衰えるのは自然なことですが、男性ホルモンが低下すると以下のような症状が現れるケースがあります。

  • 筋力や体力の低下
  • 性欲の減少
  • 気力・集中力の不足
  • 体脂肪の増加や内臓脂肪型肥満

テストステロンが減ると生活の質が下がりやすいため、定期的な運動や栄養バランス、良好な睡眠を心がけて、なるべく変化を緩やかにしていくのがポイントです。

加齢と男性ホルモンにおける症状

年齢帯主な症状例対処のヒント
40代前後疲労回復が遅くなる、筋肉の衰えを感じ始める適度な筋トレと栄養摂取
50代~60代朝の元気が出にくい、意欲低下、睡眠の質低下生活習慣の見直し、ストレスケア、クリニック受診
70代以上体力や認知機能の低下が目立つ、骨粗しょう症のリスクこまめな健康チェックと安全な運動、医師との相談

このように年代ごとの傾向を知っておくと、髪だけではなく全身の健康を維持するための準備がしやすくなります。

HRT(ホルモン補充療法)の可能性

海外では男性更年期対策としてテストステロン補充療法(HRT)を行う例もあります。ただし日本での一般的な普及度は高くなく、副作用や適応症の有無を含めて慎重な判断が必要です。

専門医と相談して適応がある場合には検討する価値がありますが、安易に使用するのは避けるべきです。

生活全般の質を高める工夫

髪の健康は生活の質と密接に結びついています。テストステロンを支えるような生活を送る心がけは、結果的に脳機能や筋骨格の状態にも良い影響を与えます。

バランスの良い食事や適度な運動、ストレスケアなどが年齢を問わず身体を良好に保つ基本といえます。

長期的に実践したい取り組み

  • 定期健康診断で血液検査やホルモン値を確認する
  • 日頃から歩数を意識し、軽い筋トレを習慣化する
  • 趣味やレジャーを取り入れ、ストレスを軽減する
  • 家族や友人とのコミュニケーションを大切にする

こうした取り組みが、年齢を重ねても前向きに過ごせる環境づくりにつながります。

髪の寿命を延ばすために

髪の寿命は遺伝的要素やホルモンバランスに左右される部分が大きいものの、ケアや生活習慣の改善で髪が受けるダメージを抑えることは可能です。

必要以上に毛根に負担をかけないようにしつつ、栄養面や運動などでテストステロンの減少を最小限に抑えることを心がけると、髪の状態が安定しやすくなります。

クリニック受診のタイミングとメリット

テストステロンと薄毛の関係を理解したうえで、自分がどの段階で医療機関を受診すべきなのか、また何を得られるのかを知ることは大切です。

ここでは、クリニック受診のタイミングや具体的なメリットを確認していきます。

早めの受診が大切な理由

薄毛や脱毛に気づいたときに「まだ大丈夫」と放置しがちですが、早めに受診して原因を特定すると、進行を抑える可能性が高くなります。

テストステロン値の測定や頭皮の状態をチェックすると、自分の状態に合った治療プランを立てやすいです。

AGAだけではなく、他の疾病が隠れている場合に早期発見につながるのもメリットです。

検査・診断意義所要時間など
血液検査テストステロンやその他のホルモン値を確認数分の採血で可能
頭皮カメラ毛穴や頭皮の状態、毛髪の太さなどを視覚的に確認数分~数十分で可能
問診生活習慣や症状の詳細を把握個別に相談しやすい

検査結果を踏まえて、薬物治療やメソセラピーなどの治療法を提案するケースが多いです。

カウンセリングの利点

AGA治療や男性ホルモンに関する悩みを抱えると、心理的にも負担を感じやすいです。

専門のカウンセリングや医師との対話によって、現在の状態や予想される治療経過などを確認できると安心感が得られます。

また、複数の治療法や費用面について比較検討できる点もクリニック受診のメリットです。

治療の継続サポート

医療機関では治療効果を定期的にチェックし、必要に応じて薬剤の変更や追加、生活習慣のアドバイスを行います。

途中で効果が頭打ちになっても別の方法を試すと改善が見込める場合があります。

薄毛やAGAは慢性的な問題になりやすいので、長期的にサポートを受けられる環境があると安心です。

クリニック通院のメリット

  • ホルモンバランスや頭皮状態の継続モニタリング
  • 治療効果に応じた薬や施術の微調整
  • 副作用の早期発見と対処
  • セルフケアへの具体的なアドバイス

自宅ケアと医療機関での治療の相乗効果によって、より安定した薄毛対策を進めやすくなります。

セカンドオピニオンの活用

AGAに限らず、医療行為には必ずしも1つの正解があるわけではありません。

複数の医療機関で意見を聞きたい場合は、セカンドオピニオンを活用するのも選択肢です。より自分に合った治療法や費用面で納得のいくプランを見つけやすくなります。

まとめ

テストステロンは男性にとって重要なホルモンであり、体力や性欲、髪の健康に深く関わっています。

髪の薄毛が気になる方にとっては、テストステロンがDHTに変化する仕組みや、AGA治療での薬の作用を理解することが不可欠です。

普段の生活習慣や運動、食事などの見直しも、薄毛の進行を食い止める要素となり得ます。

薄毛の状態が進んでいると感じる場合や、テストステロンの低下による体調不良が疑われる場合は、一度クリニックを受診してみましょう。

AGA治療薬や頭皮ケア、生活習慣のアドバイスなど、医療のサポートを得られると、より前向きに髪と健康の両面をケアしやすくなるはずです。

参考文献

CHOI, Man Ho; YOO, Young Sook; CHUNG, Bong Chul. Biochemical roles of testosterone and epitestosterone to 5α-reductase as indicators of male-pattern baldness. Journal of Investigative Dermatology, 2001, 116.1: 57-61.

BANG, Hyo-Jung, et al. Comparative studies on level of androgens in hair and plasma with premature male-pattern baldness. Journal of dermatological science, 2004, 34.1: 11-16.

RUSHTON, D. H., et al. Natural progression of male pattern baldness in young men. Clinical and experimental dermatology, 1991, 16.3: 188-192.

WRIGHT, Jonathan L., et al. Male pattern baldness and prostate cancer risk in a population-based case–control study. Cancer epidemiology, 2010, 34.2: 131-135.

SINCLAIR, Rodney. Male pattern androgenetic alopecia. Bmj, 1998, 317.7162: 865-869.

DALLOB, A. L., et al. The effect of finasteride, a 5 alpha-reductase inhibitor, on scalp skin testosterone and dihydrotestosterone concentrations in patients with male pattern baldness. The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, 1994, 79.3: 703-706.

ELLIS, Justine A.; STEBBING, Margaret; HARRAP, Stephen B. Genetic analysis of male pattern baldness and the 5α-reductase genes. Journal of investigative dermatology, 1998, 110.6: 849-853.

MAINWARING, W. Ian P.; HAINING, Shona A.; HARPER, Barbara. The functions of testosterone and its metabolites. In: New Comprehensive Biochemistry. Elsevier, 1988. p. 169-196.

前田 祐助

この記事の監修者
AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴

  1. 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
  2. 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
  3. 大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
前田 祐助

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