前田 祐助
AGAメディカルケアクリニック 統括院長
【経歴】
- 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
- 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
- 大手AGAクリニック(院長)を経て、薄毛・AGA治療の2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
- 2020年に2院目となるAGAメディカルケアクリニック横浜院を開設
- 2023年に3院目となるAGAメディカルケアクリニック東京八重洲院を開設
【資格】
- 医師免許
- ⽇本医師会認定産業医
- 医学博士
【所属学会】
- 日本内科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本臨床毛髪学会
【症例数】
- 3万人以上※
- ※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数
AGA治療が医療費控除の対象となるかを気にされる方は多いです。
結論から申し上げますと、AGA治療で医療費控除を受けるのは難しいと言われています。ただし、現状では絶対に受けられないとも言い切れません。
「どのような場合に医療費控除の対象となるのか?」
「国税庁の公式の見解が知りたい」
このような疑問をお持ちの方のため、この記事ではAGA治療と医療費控除の考え方を解説していきます。
医療費控除とは|医療費が一定額を超えると所得控除を受けられる制度
医療費控除は、自分や家族のために支払った医療費が一定の額を超える場合に所得控除が受けられる制度のことです。
その年の1月1日から12月31日までの間に自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額(下記「医療費控除の対象となる金額」参照))の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。
確定申告書、または医療費控除の明細書を作成し、税務署へ申請することで控除が受けられます。
一般的に、会社員や公務員は職場で年末調整を行うため、個人で確定申告する必要はありません。ただし、年間に10万円以上医療費を支払っている場合は確定申告をした方がいいとされています。
医療費控除の対象となるもの
医療費控除の対象となるものは以下2つの要件です。
- 自分、または生計が同じ親族のために支払った医療費である
- 1月1日から同年12月31日までに支払った医療費である
ここでいう医療費の定義には、
- 診察費や治療費
- 入院費(入院中の部屋代や食事代を含む)
- 医薬品費
- 通院にかかる交通費
- 歯の治療費
- 治療のためのリハビリテーション費用
- 介護費用
などが含まれます。
上記に加え、医師の処方箋がなくても購入できるOTC医薬品も対象※となる場合があります。
※対象の医薬品を12,000円以上購入(世帯合計)している場合に対象となる。通常の医療費控除を受ける場合、セルフメディケーション税制は受られない
医療費控除の計算方法
医療費控除の金額は以下の算式で求めます。
医療費控除額※=(その年に支払った医療費の総額 ー 保険金などで補てんされる金額)ー{10万円(所得の合計額が200万円までの方は所得の合計額の5%)}
ネットで検索すると、控除額を自動計算してくれる便利なツールが多数表示されます。年間でかかった医療費と年収、保険金(受け取った保険金がある場合のみ)がわかる書類を用意の上で利用してみるといいでしょう。
※医療費控除の上限金額は200万円
AGA治療で医療費控除を受けるのは難しい
AGA治療で医療費控除が受けられるか?というご質問に対し、当院では「税務署や税理士の判断に委ねられるケースが多い」と回答しています。
というのも、国税庁はAGA治療と医療費控除について明確な指針を定めていません。控除を受けられたという患者様もいれば、税理士にNGと言われたという方もいて、絶対にできないとは言い切れないのが現状です。
全体の数で見ると、AGA治療で医療費控除が受けられたという方の方が少ない印象です。
AGA治療=容姿の美化とみなされるため
AGA治療が医療費控除の対象外となるのは、AGA治療が「容姿の美化」と捉えられるからだと考えられます。
医療費の定義が「診療や入院にかかる費用」であり、見た目を変えることは医療費ではないという考えがあるのでしょう。所得税法でも以下のような定めがあります。
いわゆる人間ドックその他の健康診断のための費用及び容姿を美化し、又は容ぼうを変えるなどのための費用は、医療費に該当しないことに留意する。
薄毛・AGA治療を検討されている方は、まずは以下の記事をご覧ください。
初めてAGA治療を検討されている方に向けて、治療の種類や効果、副作用など事前に知っておくべきことについてまとめています。
AGAは進行性の脱毛症です。薄毛が気になった時点で早めに医療機関を受診し、専門的な治療を始めることが大切です。
病気やケガによる治療の一環ならば控除を受けられる可能性がある
予防や容姿をよく見せる目的の治療では、今のところ医療費控除は受けられないという見解が一般的です。
しかし、薄毛治療とひと口にいってもその内容はさまざまです。病気やケガの治療の一環として行われるものならば、医療費控除の対象となる可能性があると考えていいでしょう。
「AGA治療はダメで、ほかの薄毛治療はOKなのか」という疑問もあるかと思います。国が正式な回答を出していない以上、クリニックとしても答えにくい部分だというのが正直なところです。
気になる方は、税務署または税理士の先生に直接確認してみることをおすすめします。
女性の薄毛治療も医療費控除の対象外?
女性の薄毛治療は、男性の治療内容とほぼ同じ(お薬の種類は異なります)なので、女性の薄毛治療も医療費控除が受けられない可能性があります。
例外として、免疫異常または皮膚疾患からくる脱毛症は、医療費控除の対象となるケースがほとんどです。
AGA治療と医療費控除にまつわるよくある質問
最後は、AGA治療と医療費控除について患者様から多くいただくご質問にお答えしていきます。
AGA治療中に円形脱毛症になりました。医療費控除は受けられますか?
円形脱毛症の治療にかかった医療費は、控除の対象となります。
市販の発毛剤はセルフメディケーション税制※の対象となりますか?
現状、OTC医薬品の基準をクリアした発毛剤はまだありません。
※2017年に医療費控除の特例としてはじまった制度のこと。特定の成分を含むOTC医薬品(処方箋なしで購入できる医薬品)が医療費控除の対象となる
AGA治療費に関するご質問はお気軽にお問い合わせください
AGA治療と医療費控除についての考え方は、税務署や税理士によって大きく異なります。
以前は「AGA治療で医療費控除は受けられない」という考えが一般的でした。しかし近年は、AGA治療にかかったお金も医療費に該当するという見方も増えているようです。
今後どのように判断されるかは、私たちクリニックも注目しているところです。
医療費控除以外にも、治療費についてご不明点があれば当院までお気軽にお問合せください。