

前田 祐助
AGAメディカルケアクリニック 統括院長
【経歴】
- 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
- 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
- 大手AGAクリニック(院長)を経て、薄毛・AGA治療の2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
- 2020年に2院目となるAGAメディカルケアクリニック横浜院を開設
- 2023年に3院目となるAGAメディカルケアクリニック東京八重洲院を開設
【資格】
- 医師免許
- ⽇本医師会認定産業医
- 医学博士
【所属学会】
- 日本内科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本臨床毛髪学会
【症例数】
- 3万人以上※
- ※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数
育毛剤の成分を理解することは、薄毛や抜け毛に悩む方にとって大切な第一歩です。化粧品として使える成分から医薬部外品として認められる有効成分まで多岐にわたり、作用の仕組みや目的もさまざまです。
頭皮環境を整えて毛の成長を促進する成分にはどのような特徴があるのか、一覧の形式で解説しながら注意点や副作用のリスクにも触れています。
育毛剤を選ぶうえで自分に合った成分を把握し、正しく使って薄毛予防や髪のケアを進めてみてください。
育毛剤の成分を知る意味
育毛剤にはいろいろな成分が配合されており、それぞれが頭皮の状態や毛の成長に対して異なるはたらきを持っています。
血行促進や炎症の抑制などを期待して配合される成分もあれば、保湿や皮脂の抑制などを目的に含まれている成分もあります。
自分の薄毛の原因や症状に合った有効成分が何かを把握すると適切な製品選びにつながりやすくなります。
なぜ成分の理解が重要か
毛の成長には多くの要素が関わっており、原因を正しく理解しないまま育毛剤を使うと期待通りの効果を得にくい場合があります。
頭皮の血行不良が原因なら血管を拡張するタイプ、皮脂の過剰分泌が目立つなら抑制成分、炎症が起きやすいなら抗炎症成分など、それぞれ違った成分を選ぶとより効果を実感しやすくなります。
育毛剤成分を理解する利点
項目 | 内容 |
---|---|
薄毛対策 | 脱毛の原因を推測し、必要な成分をピンポイントで選びやすくなる |
ケアの効率化 | 不要な成分を避け、必要な成分に集中することで無駄が減る |
副作用対策 | かゆみやアレルギーなど、自分が合わない成分を把握しやすい |
使い続けやすさ | 効果を感じやすくなり、モチベーションが維持しやすい |
育毛と発毛の違い
育毛剤はあくまでも「今ある毛を育てる」ことを目的とした製品が中心で、発毛剤(医薬品)は「新しく毛を生やす効果」に焦点を当てています。
発毛を促す内服薬や外用薬であるミノキシジルやフィナステリドとは法律上も分類が異なることに注意しましょう。
ただし医薬部外品の育毛剤でも、血行促進や皮脂抑制、炎症抑制によって抜け毛の減少や毛の成長を促すことは期待できます。
頭皮環境を整えるポイント
髪や毛根を健康に保つためには頭皮環境を良好に維持することが重要です。皮脂や汚れがたまると毛根を詰まらせ、脱毛を誘発する恐れがあるため、適度な洗髪と保湿を心がける必要があります。
さらに、ホルモンバランスや血行不良などの内的要因にも着目しましょう。自分に合った育毛剤と日常ケアで、髪の毛を守りやすくなります。
頭皮環境を整えるうえで意識したい点
- 適切なシャンプーで皮脂と汚れを洗い流す
- 高すぎない温度のお湯で頭皮を洗う
- 過度な力で頭皮を刺激しない
- 保湿成分や抗炎症成分を含む製品を選ぶ
有効成分一覧と特徴
育毛剤に含まれる成分は多種多様で、血行促進や皮脂抑制、抗炎症などの大きな作用区分に分類できます。
植物由来のエキスやビタミン類、酵素を阻害する成分など、それぞれに目的や注目される効果が異なります。
以下では主要な成分をいくつかのグループに分けて解説します。
血行促進系の成分
血流を改善すると毛母細胞に栄養が届きやすくなるため、育毛効果を期待しやすくなります。
血管を拡張する働きを持つニコチン酸アミドやセンブリエキスなどは多くの育毛剤に配合されています。
血行促進成分の例
成分名 | 働き | 由来または性質 |
---|---|---|
ニコチン酸アミド | 血管拡張、血行改善 | ビタミンB3の一種 |
センブリエキス | 血管を拡張し毛根に栄養を届ける | リンドウ科の植物「センブリ」から抽出 |
トコフェロール酢酸エステル | 酸化を防ぎ血流を促す | ビタミンE誘導体 |
ショウキョウエキス | 温感作用で血行を活性化 | ショウガを用いた植物由来エキス |
血行促進成分は熱感を伴う場合があり、人によっては刺激を強く感じることもあります。アレルギー体質や頭皮が敏感な方は注意が必要です。
抜け毛・脱毛予防系の成分
男性ホルモンのDHTを抑制したり、炎症を防いだりする成分が中心です。
皮脂の過剰分泌をコントロールしたり、炎症反応による脱毛を抑える作用が期待されます。
抜け毛予防系の成分例
成分名 | 働き | 特徴 |
---|---|---|
グリチルリチン酸 | 抗炎症、頭皮トラブルを防ぐ | 甘草由来の成分、アレルギーや炎症を緩和 |
サリチル酸 | 角質や皮脂をやわらかくし除去する | 皮脂抑制だけでなく殺菌作用も報告あり |
酢酸トコフェロール | 酸化を抑え脱毛リスクを下げる | ビタミンE誘導体の一種で抗酸化効果が高い |
ノコギリヤシ | 5α-リダクターゼ阻害による脱毛抑制 | 男性ホルモンの過剰生成に働きかける |
抜け毛の原因としては男性ホルモンだけでなく女性にも起こるホルモンバランスの乱れ、皮脂トラブルや炎症なども挙げられます。
製品の成分表示を確認しながら自身の症状に合ったものを選ぶとよいでしょう。
頭皮環境の改善・保湿系の成分
頭皮の乾燥を防いだり、かゆみや炎症の症状を抑えたりするために保湿成分や抗炎症成分が配合されます。
頭皮環境が整うと毛母細胞や毛根が健康を保ちやすくなるため、間接的に育毛をサポートします。
頭皮環境改善の主な成分
成分名 | 作用 | 特徴 |
---|---|---|
アラントイン | 傷んだ皮膚の修復を促す、保湿 | 抗炎症効果も期待できる |
ヒアルロン酸 | 高い保水力で乾燥を防ぐ | 化粧品や医薬部外品でも人気 |
コラーゲン | 皮膚や血管の柔軟性を保つ | 加齢による弾力低下を抑制 |
プロテオグリカン | 保湿しながら細胞の活性化をサポート | サケ鼻軟骨などから抽出 |
頭皮が乾燥しやすい方やかゆみ、フケに悩む方は、このような保湿系や抗炎症系の成分が合っている可能性があります。
一方で脂性肌の方は過度な保湿が逆効果になるケースもあるため、選び方に工夫が必要です。
毛の成長を促す成分
毛根や毛母細胞の活性化を狙った成分も多く存在します。
血行促進以外に、細胞レベルで成長因子の産生をサポートする成分などが該当します。
毛の成長を促す成分例
成分名 | 作用 | 特徴 |
---|---|---|
ニンジン抽出液 | 頭皮の血流を高め栄養を届きやすくする | オタネニンジン由来 |
クララエキス | 抗炎症効果に加えて毛根活性化をサポート | 生薬クララの根から抽出 |
セファランチン | 細胞の活性を促し発毛を助けるとの報告 | タマサキツヅラフジの成分 |
カプサイシン | 血管を拡張し代謝を高める | トウガラシ由来で刺激が強い |
ミノキシジルのような医薬品成分を含む発毛剤とは異なり、医薬部外品の育毛剤は作用が緩やかなことが多いです。
しかし、継続使用や生活習慣の改善など総合的な対策でより良い結果を期待できる可能性があります。
育毛剤でよく見かける植物エキス
育毛剤には植物由来のエキスが多く配合されています。抗酸化や保湿など比較的幅広いはたらきを持つものが多いです。
ただし天然成分だから安全というわけではなく、人によってはアレルギー反応を起こす可能性もあるため注意してください。
代表的な植物エキス
植物エキスは育毛剤のイメージを高めやすいですが、実際には血行促進や抗炎症だけでなく、保湿作用や皮脂の抑制、抗酸化など多面的な働きが期待されます。
複数のエキスを同時に配合する製品もあるため、名称が似ていても含有量や組み合わせで効果が変わる可能性があります。
植物名 | 期待される作用 | 主な特徴 |
---|---|---|
カミツレ | 抗炎症、保湿 | カモミールとして知られ、肌荒れケアにも利用される |
ローズマリー | 抗酸化、血行サポート | 香りが特徴的で頭皮の引き締め作用などが期待される |
ユーカリ | 抗菌、清涼感 | 抗菌力が強いとされ、フケやかゆみの対策にも使われる |
ゴボウ根 | 血行促進、皮脂分泌抑制 | イヌリンなどの成分を含み、頭皮環境を整えやすい |
植物エキスの中には香りが強かったり、まれにアレルギー反応を誘発するものも見られます。
初めて使うエキスが多い製品では、頭皮の様子をこまめにチェックしたほうが安全です。
育毛剤で配合される植物エキスに関するポイント
- 血行促進、抗炎症、保湿など多面的にはたらくものが多い
- 由来植物によって成分含有量や作用が異なる
- 天然成分でもアレルギー反応が起きる可能性がある
- 香りの好みや刺激の強さを確認するとよい
育毛剤の使用で意識すること
育毛剤は作用が緩やかな一方、長期間使い続けると頭皮環境の改善や抜け毛の減少などの効果を実感しやすいと言われます。
効果が現れるまでには個人差があるため、焦らず正しい使い方を継続しながら自分の体質や生活習慣も含めて考えるとよいでしょう。
使用方法と塗布のタイミング
育毛剤は製品ごとに推奨の使用回数や塗り方が異なります。一般的には1日1〜2回、朝晩に使用するタイプが多く見られますが、頭皮を清潔にしてから使うことが基本です。
毛穴に皮脂や汚れが詰まっていると、せっかくの有効成分が浸透しにくくなります。
塗布時に気を付けたいこと
観点 | 内容 |
---|---|
頭皮の洗浄 | シャンプーで皮脂や汚れを落としてから使用 |
乾燥状態 | 水分を軽く拭き取り、頭皮がベタつかない程度に乾かしてから塗る |
量の調整 | 一度に多く使っても効果が急激に高まるわけではない |
マッサージ | 指の腹を使ってやさしくなじませ、血行を促す |
塗り込んだ後に余った育毛剤が額に垂れてきたり、髪に過剰に残ったりしないよう、使用量には注意してください。
塗布後にドライヤーを使う際は熱風を当て過ぎないようにすることも頭皮を保護するうえで大切です。
生活習慣も合わせて改善する
育毛剤だけに頼るのではなく、睡眠不足や栄養バランスの乱れ、ストレスなど生活習慣の面でも気を付けると相乗効果が見込めます。
毎日の食事や運動量を意識して髪の材料となるタンパク質や亜鉛、ビタミンをしっかり補うことが大切です。
髪のために意識したい栄養素
- タンパク質(肉、魚、卵、大豆製品など)
- 亜鉛(牡蠣、牛肉、ナッツ類など)
- ビタミンB群(レバー、緑黄色野菜、卵など)
- ビタミンC(柑橘類、パプリカ、いちごなど)
- 鉄分(レバー、赤身肉、ほうれん草など)
その他にも十分な睡眠を確保することで成長ホルモンの分泌を促し、髪のターンオーバーをサポートしやすくなります。
育毛剤で起こり得る副作用や注意点
育毛剤には比較的刺激の少ない医薬部外品が多いですが、人によってはアレルギーやかぶれ、かゆみなどの副作用が生じるケースもあります。
成分が合わないと感じたら使用を中断し、専門医や薬剤師に相談することが望ましいです。
アレルギー反応と刺激
植物エキスや防腐剤、香料などに反応して皮膚炎を起こす方がいます。特に初めて使う成分が多い場合には、目立たない範囲で少量試してみるのも1つの方法です。
頭皮は顔よりも皮脂が多く、かゆみや炎症を起こしやすい特徴があります。
育毛剤で確認したい刺激や副作用
副作用の種類 | 内容 |
---|---|
頭皮のかゆみ | 敏感肌や乾燥が強い場合に感じやすい |
かぶれ・赤み | アレルギー反応の可能性がある |
フケの増加 | 成分や洗髪方法との相性が良くない場合に生じやすい |
頭皮のベタつき | 配合成分に油分が多い場合や塗りすぎが原因になることも |
中には育毛剤とシャンプーの組み合わせで刺激が増す場合もあります。
複数のアイテムを新しく使う場合は少しずつ導入するとトラブルの原因を特定しやすいでしょう。
医薬部外品と化粧品の違い
育毛剤の多くは医薬部外品ですが、一部は化粧品として販売されています。医薬部外品には一定濃度以上の有効成分を含む基準があり、国から許可を得た成分表示が認められます。
一方、化粧品扱いの製品は医薬部外品ほど成分の効果が厳密に認められてはいないものの、頭皮ケアという観点で配合されていることが多いです。
医薬部外品の特徴
- 有効成分の効果が公的に認められている
- パッケージや広告表現に「育毛効果」などをうたえる
- 濃度が一定以上である分、肌への刺激が出やすい場合もある
化粧品タイプはあくまでもケアをメインにした製品であり、「育毛」の明確な効果はうたえないという法律上の違いがあります。
選ぶ際には成分表示や効果効能の書き方を確認してみるとよいでしょう。
代表的な育毛剤成分の目的別一覧
育毛剤で配合される成分は多岐にわたりますが、ここでは目的別に代表例をまとめています。
血行促進や保湿、抗炎症など主な役割を把握するだけでも、製品選びの指針が見えやすくなります。
目的別成分一覧 (1) 血行促進
成分名 | 代表的な目的 | 特徴 |
---|---|---|
ニコチン酸アミド | 毛細血管拡張 | 血流を改善し、栄養を供給しやすくする |
センブリエキス | 血流促進 | 生薬センブリ由来、頭皮へのアプローチ |
トコフェロール誘導体 | 抗酸化と血行改善 | ビタミンEの仲間、酸化ダメージを防ぐ |
カプサイシン | 血管拡張 | 辛味成分で刺激が強い |
目的別成分一覧 (2) 抜け毛抑制・ホルモン調整
成分名 | 代表的な目的 | 特徴 |
---|---|---|
ノコギリヤシ | DHT生成を抑制し脱毛を防ぐ | 5α-リダクターゼへの働きかけが期待される |
大豆イソフラボン | 女性ホルモン様作用でホルモンバランスをサポート | 大豆由来、男性にも女性にも穏やかにはたらく |
オウゴンエキス | 抗炎症・抗菌 | 皮脂の酸化や頭皮トラブルを防止する可能性 |
グリチルリチン酸 | 炎症抑制 | 甘草由来、かゆみやフケ対策にも使われる |
目的別成分一覧 (3) 頭皮環境改善・保湿
成分名 | 代表的な目的 | 特徴 |
---|---|---|
アラントイン | 皮膚修復、抗炎症 | 傷んだ頭皮を整えながらかゆみを抑える場合がある |
ヒアルロン酸 | 保湿、バリア機能サポート | 高い保水力を誇り、乾燥対策に向いている |
コラーゲン | 弾力維持、保湿 | 加齢による頭皮のハリ低下を緩和 |
セラミド | 頭皮のバリア機能強化 | 皮膚の構成成分で潤いを逃がしにくくする |
目的別成分一覧 (4) 毛母細胞の活性化
成分名 | 代表的な目的 | 特徴 |
---|---|---|
セファランチン | 毛母細胞の活性化、血流促進 | 抽出源はタマサキツヅラフジ |
ニンジン抽出液 | 頭皮への栄養供給促進 | オタネニンジン由来、古くから滋養強壮に用いられる |
クララエキス | 抗炎症と発毛サポート | 生薬クララの根由来、多機能性が注目される |
パンテノール | 代謝の促進や細胞増殖のサポート | パントテン酸誘導体、保湿や炎症抑制も見込まれる |
これらの成分は複数が同時に配合されていることが多く、相乗効果を狙って設計されます。
一方で人によって相性が異なり、特に刺激の強い成分は頭皮トラブルを招くこともあるため、実際に試した際の感触を重視しましょう。
育毛剤を選ぶときのチェックポイント
育毛剤を選ぶ際は成分表をしっかり確認すると同時に、肌質や生活習慣、予算なども考慮して最適な製品を探すと続けやすくなります。
また、専門家に相談することで自己判断のリスクを減らせるでしょう。
成分表と配合順の意味
化粧品や医薬部外品では配合量の多い成分から順に表示されるルールがあります。
表示の前半にある成分がメイン成分であると考えられますが、有効成分は一定量を満たしたうえで表記が許可されている点にも注意してください。
成分表から得られる情報
- どの有効成分がメインなのか
- 着色料や香料、防腐剤などの添加物の有無
- 抗炎症や血行促進、保湿などの成分バランス
表示されている順番や記載方法で、その製品のコンセプトを推測できる場合があります。
気になる成分がある場合は、どの程度含まれているかを推測する材料にもなります。
自分の頭皮タイプを把握する
脂性肌と乾燥肌では育毛剤に求める機能が違います。かゆみやフケが多いなら抗炎症成分や保湿成分が必要になりやすく、皮脂量が多くてベタつくなら皮脂抑制が期待できる成分が合う傾向です。
頭皮環境は季節や体調、年齢によって変わることもあるため、定期的にチェックしておきましょう。
頭皮タイプ別に考える成分選び
- 脂性肌:サリチル酸などの皮脂除去力、ノコギリヤシなど男性ホルモン抑制
- 乾燥肌:ヒアルロン酸、セラミドなどの保湿成分、炎症対策
- 敏感肌:天然由来でも刺激になりうるので低刺激性を優先
- 普通肌:バランスよく血行促進と保湿、トラブル予防を狙う
皮脂が多い人がさらにオイル成分の多い育毛剤を使うと、かゆみや毛穴づまりが悪化する可能性があります。
一方で乾燥肌の人がアルコール度数の高い製品を使い過ぎると頭皮の刺激が強まるリスクもあるので十分に注意してください。
価格とコストパフォーマンス
育毛剤は数週間や1カ月で劇的に変化するものではないため、最低でも3〜6カ月ほど継続することが推奨されます。そのため、価格が高すぎる製品を最初から選ぶと継続が難しくなる可能性があります。
自分が無理なく続けられる価格帯で、成分的にも適した製品を見つけると負担を減らせます。
コストを考えるための視点
項目 | 内容 |
---|---|
1本あたりの価格 | 3,000円〜1万円程度の幅が一般的 |
1カ月あたりの使用量 | 製品によって1本で1〜2カ月使えるものもあればそれ以下もある |
定期購入やまとめ買い | 割引がある場合が多いが、肌に合わないと在庫が余るリスクがある |
医師の処方薬との比較 | AGA治療薬(フィナステリドなど)と合わせると費用がかさむ場合も |
育毛剤単体で効果が感じられなければ、専門クリニックで内服薬や外用薬の処方を受ける選択肢もあります。
その場合は追加費用が発生しますが、医師のフォローが入る分だけ自分の症状に合う治療が行いやすい利点があります。
医療機関や専門家のアドバイス
抜け毛が顕著に増えたり薄毛が進行している場合は、早めにAGA専門クリニックや皮膚科を受診すると安心です。
自己判断では原因が特定しにくいケースや、ホルモンバランスに関わる複雑な要因が絡んでいる可能性もあります。
検査や診察を経て、より的確な治療方針を立てられます。
専門家に相談する利点
- 原因の検査による客観的な判断が得られる
- 育毛剤以外の内服薬や外用薬を組み合わせられる
- 定期的な経過観察で効果や副作用をチェックできる
- 食生活や頭皮ケアのアドバイスを受けやすい
AGAに限らず、女性のホルモンバランスや円形脱毛症など別の疾患が疑われる場合もあるため、気になる症状があれば専門家に尋ねるのが確実です。
育毛剤の使い方をサポートする工夫
育毛剤を効果的に使用するためには自宅でのケアだけでなく、使い方を長続きさせる工夫が大切です。
髪や頭皮に優しい生活習慣を身につけることで有効成分のはたらきを後押しできるでしょう。
頭皮マッサージの取り入れ方
育毛剤を塗布した後、頭皮をマッサージすると血行促進をサポートしながら有効成分をなじませやすくなります。
指の腹を使って円を描くように優しく押し、頭皮に余分な負担がかからないよう気を付けましょう。
マッサージに期待できるメリット
- 頭皮の血流が促され、育毛剤が浸透しやすい
- 凝りがほぐれてリラックス効果も得られる
- 毛穴に詰まった皮脂や汚れが落ちやすい
マッサージしすぎは頭皮を傷つける原因にもなり得るため、1回につき数分程度にとどめましょう。
シャンプーやヘアケア製品の見直し
強力な洗浄力のシャンプーを使うと必要な皮脂まで洗い流して頭皮を乾燥させるケースがあります。逆に洗い残しがあるとフケやかゆみの原因になりやすいです。
自分に合ったシャンプーを選ぶと育毛剤の効果を妨げにくくなります。
ヘアケアを見直すときの項目
- シリコンの有無や刺激成分を確認する
- 髪の質感(パサつき、ベタつきなど)をチェックする
- コンディショナーは頭皮につけない
- ドライヤーの熱風を必要以上にあてない
市販のシャンプーでも敏感肌用や保湿重視、皮脂除去重視など種類が豊富です。
自分の頭皮タイプに合ったタイプを選び、正しい方法で洗髪する習慣を身につけると育毛剤も活かしやすい環境になります。
継続して使用する大切さ
育毛剤の多くはヘアサイクルの関係上、すぐに効果が現れるものではありません。一般的に3〜6カ月程度は同じ製品を使い続けて、頭皮や毛髪の変化を確認することが推奨されます。
頻繁に製品を変えてしまうと、どれが自分に合っているか見極めにくくなるデメリットがあります。
継続使用を支えるコツ
- 毎日使うタイミングを決めて習慣化する
- スマホや手帳に頭皮状態や抜け毛の量をメモしておく
- 写真で比較しながら変化を実感する
- 成分の刺激を感じたときは一時中断し、医師に相談する
育毛剤選びに失敗したと思ってすぐにやめるのではなく、まずは使い方やライフスタイルを見直し、数カ月間は冷静に観察することが大切です。
FAQ:育毛剤の成分や使い方に関する質問
育毛剤をめぐっては成分や効果、使い方などさまざまな疑問が寄せられます。代表的な質問に対して簡単に触れます。
Q. 育毛剤で天然成分なら安心なのか
A. 天然成分であってもアレルギーやかゆみを起こす可能性は否定できません。特に植物エキスは複数の成分を含むため、知らないうちに合わない成分が含まれている場合もあります。
初めて使う製品では少量ずつ様子を見ながらケアするのが望ましいです。
Q. 医薬部外品のほうが必ず効くのか
A. 医薬部外品は有効成分が一定基準以上含まれているため、一定の効果が認められていますが、個人差があります。
化粧品タイプでも頭皮ケアに力を入れた製品が存在するため、一概に医薬部外品がすべて優れているわけではありません。自分の悩みや頭皮タイプと照らし合わせて最終判断するとよいでしょう。
Q. 育毛剤と発毛剤は併用すべきか
A. 発毛剤は医薬品として承認された成分(ミノキシジルなど)を含み、抜け毛や薄毛を直接的に改善する力が期待されています。一方、育毛剤は頭皮環境を整えることで毛の成長をサポートします。
両者の併用でより効果を得られる場合がありますが、副作用のリスクやコストなどを考慮しながら医師の指導のもとで行うのが理想です。
Q. 成分が多ければ多いほどいいのか
A. 多種多様な成分を含む製品は魅力的に見えるかもしれませんが、配合量が少なかったり、相性が悪い組み合わせになっている可能性もあります。
むしろ必要な成分をしっかり含み、不要な添加物が少ないほうが良い場合もあります。製品の評判や実際の使用感を含めて総合的に判断してください。
Q. 使い始めると抜け毛が増えることがあるか
A. 最初の数週間で抜け毛が増えたように感じる「初期脱毛」と呼ばれる現象が報告されるケースがあります。毛周期が切り替わる過程で起こると考えられ、必ずしも悪い兆候とは限りません。
ただし、明らかに炎症やかゆみがある場合は使用を中断して専門家に相談したほうが安全です。
まとめ
育毛剤の有効成分一覧を知ると、なぜその成分が配合されているのか、どのような頭皮・毛髪状態に向いているのかが理解しやすくなります。
血行促進や抗炎症、保湿など、それぞれの作用を把握しておけば、自分の頭皮の状態に合った製品を選ぶうえで大いに役立ちます。
- 血行不良からくる薄毛なら血管拡張系、代謝促進系の成分
- 皮脂過剰や炎症が気になるなら抗炎症や皮脂抑制系の成分
- 乾燥や敏感肌の場合は保湿系や低刺激の植物エキス
- ホルモンバランスが気になるなら5α-リダクターゼ抑制系も視野に
育毛剤は長期間の使用と生活習慣の見直しが鍵です。
成分を正しく選び、医師や専門家の助言を得ながら継続的に頭皮ケアを行うことで、薄毛や抜け毛の進行を抑えながら髪の健康を守りやすくなります。
短期的な効果を求めすぎず、着実な育毛を目指してみてください。
以上
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