前田 祐助
AGAメディカルケアクリニック 統括院長
【経歴】
- 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
- 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
- 大手AGAクリニック(院長)を経て、薄毛・AGA治療の2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
- 2020年に2院目となるAGAメディカルケアクリニック横浜院を開設
- 2023年に3院目となるAGAメディカルケアクリニック東京八重洲院を開設
【資格】
- 医師免許
- ⽇本医師会認定産業医
- 医学博士
【所属学会】
- 日本内科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本臨床毛髪学会
【症例数】
- 3万人以上※
- ※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数
「一度死んでしまった毛根って、もう一度復活することはあるの?」
薄毛や抜け毛で悩む人のなかには、そのような疑問を抱いたことのある人も多いのではないでしょうか。
「そもそも毛根が死ぬとはどのような現象なのか」「何か特定の方法や食べ物、マッサージなどは毛根の復活に効果的なのか」など、いろいろと考えてしまう人は多いでしょう。
そこでこの記事では、毛根の役割や健康を維持するための具体的な方法について解説します。さらには毛根が死滅する原因、毛根を再生させる方法まで、あなたが髪の毛とその健康について知るべきことを一通り網羅しています。
髪の健康は全体的な健康状態を反映するだけでなく、自己肯定感や自信にも大きく影響します。だからこそ正しい知識と適切なケアが必要不可欠です。
薄毛は抜け毛に立ち向かうための具体的なステップや、健康な毛髪や頭皮を取り戻したい人は、ぜひ最後までお読みください。
毛根が死滅したら再生しない?
まず結論として、本当に毛根が「死滅」してしまったのであれば、そのときは再生しません。しかし実は毛根は、そう簡単には死滅しません。毛根に関して人々のあいだで誤解されていることの1つとして、すぐに死滅してしまうものであるという認識が挙げられます。
一般的に死滅したと思われている状態の多くは、実際には活動を停止しているだけです。それは永続的な死滅を意味しているわけではありません。つまり、やがて活動を再開する可能性もあるということです。
具体的にどういうことなのか、以下で解説します。
毛根が簡単に死滅することはない
毛根の生命力は非常に強く、完全に死滅してしまうことはまれであると考えてください。よくあるのは、毛根が「休眠状態」に入ることです。この状態では一時的に髪の成長が停止しますが、毛根自体が死んでいるわけではありません。
必要な栄養素と適切な刺激を与えることで、これら休眠中の毛根は再び活動を開始し、新しい髪の毛を生み出す可能性があります。
毛母細胞が機能していればまた生えてくる
髪の毛が生えてこないのは、多くの場合「毛根の休眠」が原因です。これは毛母細胞が一時的に活動を停止している状態を指します。
しかしこの状態において、毛母細胞自体は依然として健康であるため、適切なケアと栄養を提供することで再び活動を開始します。結果として新しい髪の毛を生み出すことにつながります。
一見すると毛根が死滅してしまったかのように見える状態でも、毛母細胞が健康であれば、毛根を復活させることができるということです。この点を理解することで、薄毛や髪の毛の問題に対する新たな視点を持つことができます。
毛根から髪が生える仕組み
毛根からどのように髪の毛が生えてくるかを理解するには、髪の生え変わりのサイクル、すなわち「ヘアサイクル」を理解することが必要です。
ヘアサイクルは、髪の毛が生えて成長し、最終的に抜け落ちるまでの生命サイクルのことを指します。これは成長期・退行期・休止期の3つのフェーズから構成されます。
まず成長期と呼ばれるフェーズからヘアサイクルは始まります。この期間は数年間にわたり、新しい髪の毛が積極的に成長する時期です。毛根が活発に細胞を分裂させて髪の毛を形成します。
成長期における髪の毛の成長速度は個人差がありますが、平均的には月に約1cmほどとされています。
成長期が終わると、次に退行期という短い期間が始まります。この期間はおよそ2~3週間と短く、この間に毛根の細胞分裂が停止し、毛包が収縮して毛髪から離れていきます。結果として髪の毛の成長が停止します。
最後に休止期と呼ばれる期間が続きます。この期間、毛根は新たに髪の毛を成長させる準備にかかりきりとなり、既存の髪の毛は自然と抜け落ちます。そして新しい髪の毛がその場所を埋める準備を始めます。この休止期は数ヶ月間続きます。
このように、毛根は成長期・退行期・休止期を絶えず繰り返しています。頭皮の状態によっては毎日数十本の髪の毛が抜け、新しい髪の毛が生えてくるというサイクルが日々続きます。
この自然なサイクルを理解することで、薄毛や髪の毛の問題に対する視点を広げ、適切なケアや治療を行うための知識を得ることにつながります。
参照元:男性型脱毛症と育毛有効成分(ライオ ン(株)生物化学セ ンター)
毛根が死滅する原因
毛根の死滅する原因は、我々の生活の中にも潜んでいます。主な原因としては以下の2つが挙げられます。
- ヘアサイクルの周期が終わった
- 外部からの強い刺激を受けた
どちらも我々の日常生活に深く根ざしており、生活習慣や環境要素、さらには自身の体質などによって結果は変わります。順番に見ていきましょう。
ヘアサイクルの周期が終わった
第一に考えられるのが、ヘアサイクルの終了です。ヘアサイクルが一巡すると、古い髪の毛は自然と抜け落ち、新たな髪の毛がその場所に生えてきます。
しかし、このヘアサイクルが正常に機能しないと、毛根が死滅してしまい、新たな髪の毛が生えてこないという現象が起こります。つまり毛根の死滅とは、一種のヘアサイクルの乱れともいえるのです。
この乱れは、年齢・遺伝・ホルモンバランスの変化・栄養状態など、さまざまな要素によって引き起こされます。
外部からの強い刺激を受けた
次に、外部からの強い刺激を受けた場合も毛根は死滅することがあります。毛髪や頭皮は、以下のようなダメージに非常に敏感です。
- 化学的なダメージ(パーマ液・カラーリング剤など)
- 物理的なダメージ(強く引っ張る・摩擦など)
- 環境的なダメージ(紫外線・乾燥・寒暖差など)
これらの強い刺激が頻繁に繰り返されると、毛根はダメージを受け、最終的には死滅してしまいます。特に化学的なダメージは、直接毛根の構造に影響をおよぼすため、毛根の健康にとって大きな脅威となります。
また日々のブラッシングが強すぎることなどによって引き起こされる小さなダメージも、積み重なると毛根を弱め、死滅へと導く可能性があります。日常のちょっとした習慣が毛根を死に追いやってしまうことは十分にあるので、意識的にケアすることが必要不可欠です。
参照元:毛髪の紫外線ダメージ 評価指標とダメージケア(株式会社資生堂 リサーチセンター)
毛根の成長を促す方法
毛根の成長を促す方法としては、主に以下の6つが挙げられます。
- ストレスを解消する
- 適度に運動する
- 十分に睡眠を取る
- バランスの取れた食事をする
- 自分に合ったシャンプーを使う
- 頭皮マッサージをする
いずれも日常生活の少しずつの積み重ねであり、日頃からヘアケアを意識することがいかに重要であるかを物語っているといえるでしょう。順番に解説していきます。
参照元:髪の健康を考える〜美しい髪で過ごすには〜(都民公開講座)
ストレスを解消する
ストレスは毛髪の健康に大きな影響を与えるので、できるだけ解消することに努めましょう。ストレスが蓄積されると体内のホルモンバランスが乱れ、ヘアサイクルに悪影響を与える可能性があります。さらにストレスは血行を悪化させるため、毛根の栄養供給を妨げてしまいます。
これらの現象を防ぐためにも、生活の中でストレスを適切に解消することが大切です。趣味に没頭する・リラクゼーションを取り入れる・好きな映画やドラマを観るなど、自分に見合ったストレス解消法を探してみましょう。
ストレスの多い現代社会では、自分にぴったりのストレス解消法を見つけることが、毛根の健康維持に大きく寄与します。自分のなかに心地よい感情が芽生える手段を確立させることが、トータル的な健康維持につながっていきます。
参照元:ストレスが被毛成長に及ぼす影響について(日本皮膚科学会雑誌)
適度に運動する
適度な運動も毛髪の成長を助けます。運動により血流がよくなると、頭皮にも十分な栄養と酸素が供給され、毛根の活性化につながるからです。
また運動による発汗は頭皮の汚れを洗い流し、健康的な頭皮環境を保つことにつながります。
適度な運動とは、散歩やストレッチなど日常生活のなかで比較的容易に取り入れられるもののことです。このような運動を定期的に行うことで、毛髪の健康が保たれます。
たとえば毎日の通勤においてなるべく多く歩く、家事を少し意識して動く、週末に公園で軽くジョギングをするなど、身近なことから始めてみましょう。
適度な運動は心地よい疲労感を与え、良質な睡眠を促すことでも健康に寄与します。
十分に睡眠を取る
睡眠を十分にとることは体全体をしっかり回復させることであり、毛髪の成長にも非常に重要な役割を果たします。
特に深い眠りの時間帯である深夜0時から朝の4時くらいまでのあいだに分泌される成長ホルモンは、細胞の再生を促し、体全体の健康を保つのに必要不可欠です。
また睡眠不足はストレスの一因となり、それが毛髪に悪影響を及ぼす可能性もあります。逆に言えば、質の良い睡眠をしっかり取ることで毛髪の成長を促すことが可能となります。
良い睡眠を得るには、寝る前のリラクゼーション、規則正しい生活リズムの維持、適切な寝具の選択などが重要です。また夜間のカフェイン摂取を控える、適度な運動を行う、夜更かしを避けるなどの工夫も効果的でしょう。
参照元:健康づくりのための睡眠指針2014(厚生労働省健康局)
バランスの取れた食事をする
バランスの取れた食事をすることは、毛髪の成長に良い影響を与えます。
特にタンパク質の摂取は非常に重要です。なぜなら、毛髪は主にタンパク質であるケラチンから作られているからです。肉類・魚類・豆類・卵などのタンパク質を豊富に含む食材を適量に摂取することで、毛髪の成長が促されます。
またビタミンやミネラルなどの栄養素も必要です。ビタミンB群は毛髪の成長を促し、ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、ビタミンEは血行を促進します。ミネラルのなかでも特に、鉄分は髪の健康を保つ上で欠かせません。
これらの栄養素をバランスよく摂取することで、毛根の成長を助け、健康的な髪の成長を促進します。
参照元:走査型電子顕微鏡観察により明らかになった毛髪の損傷形態と栄養状態との関連(金城学院大学大学院人間生活学研究科後期課程)
自分に合ったシャンプーを使う
髪の健康を保つためには、自分の髪質や頭皮の状態に合ったシャンプーを選ぶことも大切です。たとえば、乾燥肌や敏感肌の人は肌に優しい成分のものを、オイリー肌の人は皮脂を適度に落とすタイプのものを選ぶとよいでしょう。
シャンプーは頭皮を清潔に保ち、健康な毛髪を育む環境を作るために必要ですが、あまりに洗浄力が強いシャンプーには注意してください。頭皮の自然な油分まで取り除いてしまい、頭皮を乾燥させる可能性があるからです。
頭皮に優しい成分が含まれたシャンプーを選び、正しい洗髪方法を身につけることが大切となります。
頭皮マッサージをする
頭皮マッサージは血行をよくし、毛根に栄養を届ける効果があります。これにより毛根の成長を促進し、髪の成長をサポートします。
また頭皮マッサージには頭皮の柔軟性を保つ効果もあるので、頭皮環境を整えるのにも役立つでしょう。
頭皮マッサージをする際には、指の腹を使って頭皮全体をソフトに揉みほぐしてください。爪を立ててしまうと頭皮を傷つける可能性があるので、注意が必要です。
また頭皮マッサージを行う際には、リラックスした状態を選ぶとより大きな効果が期待できます。たとえばお風呂上がりや寝る前などの時間に行うとよいでしょう。
頭皮マッサージは長期間続けることで効果が現れるものなので、日々の習慣に取り入れてみてください。
参照元:地肌マッサージの頭皮への作用(花王株式会社 ヘルスケア研究所)
薄毛治療を始める
薄毛が気になり始めたら、何はともあれ早期に治療を始めることが大切です。自己判断で生活習慣の見直しやケアを行っても効果が見られない場合、専門的な治療法を考えるタイミングといえるでしょう。
ここでは薄毛治療の種類として、以下の4つを紹介します。
- 内服薬
- 外用薬
- メソセラピー
- 植毛
順番に見ていきましょう。
参照元:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版(日本皮膚科学会)
内服薬
内服薬は、体内から働きかけて毛根の成長を促す方法です。広く知られている内服薬としては、プロペシアやフィナステリド錠などが挙げられます。
プロペシアは認可を受けたAGA治療薬で、ヘアサイクルを正常に戻し、抜け毛や薄毛の進行を抑える効果があります。フィナステリド錠はプロペシアのジェネリック医薬品で、より安価に入手できるのがメリットです。
内服薬は高い効果の期待できるものですが、副作用のリスクもあるので注意が必要となります。必ず医師の指導のもと、適切な容量と用法を守りながら服用する必要があるでしょう。
外用薬
外用薬は、直接頭皮に薬剤を塗布し、毛根に働きかける方法です。よく使われるものとしてはミノキシジルが挙げられます。
ミノキシジルには、毛母細胞の分裂を促進し、毛髪の成長期を延長する効果があります。この効果により1本1本の髪がより長く成長し、頭髪全体のボリュームアップにつながります。
また頭皮に直接塗布するため、効果が早く現れやすいという特徴もあります。ただし、ミノキシジルの効果は使用を続けているあいだだけ現れるもので、使用停止すると徐々に効果が失われていくことに注意が必要です。
そのため継続的な使用が不可欠となります。使用方法や頻度については、やはり専門の医師に相談するのがおすすめです。
メソセラピー
メソセラピーは皮膚科学に基づく治療法で、皮膚の中層にビタミンやミネラル、育毛促進成分を直接注入する方法です。
この治療は、毛根や毛母細胞に直接栄養素を供給することで、健康な毛髪の成長を支援するというコンセプトになります。髪の毛は栄養を十分に受け取ることで、より強く太くなります。
メソセラピーは治療開始の初期段階から発毛の効果が見られ、抜け毛や薄毛の初期症状に悩む人に特に有効です。通常の場合、治療は数週間に1回行われ、大きな痛みを伴うことはほとんどありません。
植毛
植毛は、薄毛治療の最後の手段ともいえます。頭髪が豊富に生えている部分から毛根を採取し、薄毛部分に移植するという方法です。
植毛のメリットとしては、自分の髪の毛を移植するため拒絶反応や炎症などが起こりにくいことが挙げられます。
また毛根ごと移植するので、移植した箇所で髪の毛は確実に生えて成長し、通常のヘアサイクルを繰り返すようになります。そのため定期的なメンテナンスが必要ありません。
一方でデメリットとしては、施術から発毛を実感するまでに時間がかかることが挙げられます。移植した髪はいったん抜け落ちてから新しく伸び始めるため、10cmほど伸ばすのに1年ほどかかる計算になるからです。
とはいえ突然髪の毛の量が増えるのではなく、少しずつ伸びていくので、周囲からは自然にボリュームアップしているように見える点はメリットといえるかもしれません。
毛根を再生させたいなら当院に相談を
毛根の再生をメインテーマに、ヘアケアに関する一通りのことを解説しました。
重要なのは、毛根が文字通り死滅することはまれであり、適切なケアと治療を受ければ健康な毛髪の成長を再開させる可能性があるということです。
育毛に役立つといわれている食事や適度な運動、ストレスの管理方法など、毎日の生活習慣の見直しから始めましょう。これらの小さな変更は、頭皮と毛根の健康を改善し、毛髪の成長を促進する手助けとなります。
しかしこうした方法だけでは効果が見えにくい場合や、さらに手強い薄着に対処したい場合もあるでしょう。
そのような場合は、ぜひ当院までお問い合わせください。これまで数多くのお客様の相談に応じてきた豊富なノウハウにもとづき、お客様一人ひとりの状態に合わせた適切なアドバイスとサポートを提供させていただきます。
●自由診療における限定解除要件
【治療内容】
薬剤や手術によって発毛を促します。
【副作用】
内服薬・外用薬はかゆみや頭痛など、メソセラピーは腫れや発疹が出る可能性があります。
【費用】
内服薬・外用薬:3,630~33,000円(税込)/月
メソセラピー:1回66,000円
※自由診療のため保険が適用されません