男性型脱毛症治療薬から始めるAGA対策

男性型脱毛症（AGA）は男性ホルモンの影響を受けて髪が薄くなる症状で、進行すると頭頂や生え際が目立って脱毛が進みます。

最近はさまざまな治療薬が開発され、フィナステリドやデュタステリドなど内服薬でAGAを抑える選択肢が増えました。

治療薬の効果や注意点はもちろん、症状の原因、診察・処方の流れを知っておけば、クリニックでの診療を受ける際にスムーズに進められます。

ここではAGAの基礎から治療薬の種類、費用の目安、副作用などを詳しく紹介します。

男性型脱毛症（AGA）とは何か

男性型脱毛症（AGA）は男性に多くみられる脱毛症の一種で、年齢とともに進行する特徴があります。

ジヒドロテストステロン（DHT）などの男性ホルモンが深く関与し、髪の毛が徐々に細く短くなり、頭頂や生え際から後退していきます。

この状態を放置すると脱毛が進行して頭皮が目立ってしまうことがあります。

ここではAGAの原因とメカニズムを理解して効果的な治療薬を使用するために役立つ基礎知識を解説します。

AGAのメカニズムと原因

AGAは男性ホルモンのテストステロンが5α還元酵素の作用を受けてジヒドロテストステロン（DHT）に変換されることが発端です。

DHTは毛母細胞の成長を妨げるため、正常なヘアサイクルが乱れて抜け毛が増えたり髪が細くなる可能性が高まります。

また遺伝的要素も大きく、家族に薄毛の方がいる場合はAGAを発症するリスクが高いといわれます。

AGAの症状と進行パターン

AGAは頭頂部や生え際が薄くなる症状が代表的です。

初期段階では抜け毛が増える程度ですが、症状が進むと頭部の毛髪密度が大きく低下して頭皮が透けるようになります。

進行度合いは個人差があるため気になる場合は早めに医師の診察を受けることが大切です。

AGAとクリニックでの受診の必要性

市販の育毛剤で一時的に改善がみられる場合もありますが、ヘアサイクルが大きく乱れている場合は医師の診察と適切な治療薬の処方が必要です。

クリニックでは脱毛の原因を確認しながら最適な内服薬や外用薬を選択することが可能です。

特にフィナステリドやデュタステリドといった治療薬は医療機関での処方を基本としています。

AGAにおける女性との違い

女性にもびまん性の脱毛症などがありますが、男性型脱毛症のように男性ホルモンが大きく影響して進行するケースは少ないです。

女性の場合は鉄欠乏性貧血や出産後のホルモンバランスの乱れなど複合的な原因が多いので、男性よりも治療アプローチが異なる場合があります。

男性ホルモンと脱毛の関係をまとめた表

項目	内容
テストステロン	男性らしさを作る主要なホルモン
ジヒドロテストステロン（DHT）	5α還元酵素によりテストステロンが変換された物質。AGAの主要な原因
5α還元酵素	テストステロンをDHTに変換する酵素
AGAの特徴	毛が細く短くなりやすい。頭頂や生え際が著しく薄くなり、進行することが多い
遺伝的要素	家族にAGAがある場合、発症リスクが高い

AGA治療薬の種類と特徴

AGAに用いる代表的な薬は内服薬と外用薬に大別されます。

特にフィナステリドやデュタステリドなどの内服薬は男性型脱毛症の進行を抑制し、発毛を期待できるため広く用いられています。

ここでは各薬の効果や注意すべき点を詳しく解説します。

フィナステリド（プロペシア）

フィナステリドはAGA治療薬として最も知られています。

プロペシアはこのフィナステリドを有効成分とする製品名で、日本国内でも多くの医療機関が処方しています。

主に5α還元酵素の働きを抑制し、ジヒドロテストステロンの産生を減らす仕組みで脱毛の進行を抑える効果があります。

• 成人男性に対し、臨床データで髪の毛の伸びを促す例が多数報告されています。
• 副作用としては性欲の減退、勃起不全、肝機能の低下などが起こる可能性があります。
• 女性や妊娠中の方の服用は推奨されません。

デュタステリド（ザガーロ）

デュタステリド（製品名：ザガーロ）はフィナステリドと同様に5α還元酵素を抑制しますが、フィナステリドよりも幅広い型の5α還元酵素を阻害する特徴があります。

• フィナステリドがブロックするタイプIとタイプIIのうち、デュタステリドはどちらもより強く抑制するとされます。
• 効果としては頭頂部だけでなく生え際の脱毛進行にも作用が及ぶ可能性があります。
• 副作用はフィナステリドと類似し、性機能面や肝機能検査への影響が報告されています。

ミノキシジル（外用薬・内服薬）

主に血管拡張作用によって毛母細胞の成長を促す薬です。外用薬は頭皮に直接塗布し、内服薬は体全体で作用します。

ただし日本国内において内服薬は医療機関での自費診療となる場合が多いです。

• 外用ミノキシジルは男女ともに使用が可能です。
• 頭皮のかゆみや発疹、場合によっては体毛の増加が起こる可能性があります。
• 内服薬は血圧低下などの副作用があるため、医師の監督下での服用が必要です。

治療薬の特徴を整理した表

治療薬	主成分	主な作用	副作用例	備考
フィナステリド （プロペシア）	フィナステリド	5α還元酵素を抑制し、DHT産生を抑える	性欲減退、肝機能低下など	妊娠中の女性は触れないよう注意
デュタステリド （ザガーロ）	デュタステリド	幅広い型の5α還元酵素を抑制	性欲減退、肝機能低下など	頭頂部や生え際の脱毛進行を抑制可能
ミノキシジル （外用・内服）	ミノキシジル	血管拡張作用により毛母細胞を活性化	かゆみ、発疹、体毛増加、血圧低下	内服は国内では自費診療が多い

クリニックでのAGA診療の流れ

AGA治療薬の処方を受けるには医療機関での診察が基本です。

医師の判断によりフィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルなど最適な治療薬を選ぶ流れが一般的です。

ここでは初めてAGAの診療を受ける方へ向けて一般的なステップを解説します。

初診：症状と生活習慣の確認

医師はまず患者の脱毛症状や生活習慣を詳しくヒアリングして血液検査などで肝機能やホルモンバランス、PSA（前立腺特異抗原）の値などを確認する場合があります。

特にフィナステリドやデュタステリドは前立腺に影響を及ぼす可能性があるため、PSA値の経過観察が必要なケースがあります。

処方薬の選択と説明

医師はAGAの進行度合い、頭頂部や生え際の脱毛状態、患者の体質などを考慮し、使用する治療薬を提案します。

• フィナステリド、デュタステリドのいずれかを中心に、外用薬やサプリメントとの併用を提案されることもあります。
• 副作用や服用方法、服用期間、費用などについて医師から詳しい説明を受けると安心です。

治療継続と経過観察

処方薬の効果を判断するためには少なくとも3カ月～6カ月程度の経過観察が必要です。

治療の継続が重要となるため定期的にクリニックで診察し、薬の効果や副作用をチェックします。

場合によっては医師が薬の種類や用量を変更します。

通院スケジュールと費用の目安

AGA治療は健康保険が適用されず、自費診療となる場合が多いです。

クリニックによって費用構成や診療のペースが異なるため通院前に確認する必要があります。

• 初診料・再診料、血液検査代などのほか、薬の費用がかかります。
• トータルでの費用を把握しておくと継続しやすくなります。

一般的な治療スケジュールと費用の目安

通院回数	主な内容	費用の目安（円）
初回	問診・診察、血液検査、薬の処方	5,000～10,000（薬代含まず）
2回目以降	経過観察・薬の処方	3,000～5,000＋薬代
薬代	フィナステリド・デュタステリド・ミノキシジル等	1カ月分で3,000～10,000程度が目安

服用時の注意点と副作用への理解

AGA治療薬は効果が期待できますが、性機能の低下や肝機能への影響など副作用がまったく起こらないわけではありません。

正しく理解し、注意しながら服用することが重要です。

服用期間と効果の現れ方

フィナステリドやデュタステリドは飲み始めて早い段階で抜け毛の減少を実感することもありますが、目に見える髪の増加は3カ月以上経過しないとわかりにくいことが多いです。

副作用が出ない限り、長期的に継続して服用することが大切です。

性機能への影響

フィナステリドやデュタステリドで報告されている副作用として性欲の減退や勃起不全などがあります。

発現率はさほど高くはないものの、少しでも症状を感じたら医師に相談するとよいでしょう。

肝機能やその他の検査

肝機能に不安がある方は服用前に医師の診察と血液検査を受けることが望ましいです。

またPSA値への影響も考えられるため、前立腺がん検査の予定がある方は事前に医師へ相談する必要があります。

妊娠を希望する女性や妊娠中の方への注意

フィナステリドやデュタステリドは胎児への悪影響が懸念されるため、妊娠中の方や妊娠を希望する女性は触れないように注意を要します。

男性であってもパートナーが妊娠中の場合は服薬に関して医師へ申し出ておくと安心です。

代表的な副作用の一覧

副作用	詳細	対処方法
性欲減退・勃起不全	男性ホルモン産生への影響	服用を中止するか減量を医師に相談
肝機能の悪化	AST、ALTなど肝機能値の上昇	定期的な血液検査で状態をチェック
頭痛	個人差があるが、まれに報告される	症状が続く場合は早めに受診
かゆみ・発疹	ミノキシジル外用薬で起こりやすい	塗布部位の使用量を見直すか医師に報告

AGA治療を続けるためのヒント

AGAは進行性であり、放置すると脱毛が加速する可能性があります。

服薬や外用薬を継続的に使うとともに、生活習慣の見直しも重要です。

治療を長く続けやすくするためのポイントをまとめます。

日常生活で心がけたいこと

• 睡眠時間を十分に確保し、頭皮や毛髪に十分な回復時間を与える。
• タンパク質やビタミン類などバランスのよい食事を心がけ、毛髪の成長をサポートする。
• ストレスはホルモンバランスを乱し、抜け毛を増やす可能性があるため、適度な運動や趣味でリフレッシュする。

毛髪の成長を助ける栄養素を含む食品

栄養素	食品例	期待できる効果
タンパク質	肉、魚、豆類など	髪の主成分ケラチンの材料になる
ビタミンB群	レバー、卵、緑黄色野菜	頭皮や髪の代謝を助ける
ビタミンE	アーモンド、ナッツ類、かぼちゃ	血行を促進し、毛根の栄養供給を助ける
亜鉛	牡蠣、牛肉、かぼちゃの種	髪の成長に必要な酵素を活性化

服薬のタイミングや飲み忘れ

フィナステリドやデュタステリドは毎日決まった時間に飲むと効果が安定しやすいです。

飲み忘れた場合は次の予定時刻に1回分のみ服用するようにし、2回分をまとめて飲むことは避けてください。

自宅ケアとの併用

育毛シャンプーやヘアトニックで頭皮環境を整えることもAGA対策として有効です。

内服薬や外用薬と併用しつつ、頭皮へのマッサージなどで血行を促進する方法も試すとよいでしょう。

通院を続ける理由

AGA治療は目に見える効果が出るまでに時間がかかります。

途中で諦めると、せっかく進行が抑えられていた脱毛が再度進行する可能性があります。

定期的な診察によって服用量の調整や副作用の確認ができるため、クリニックでのフォローは重要です。

AGA治療を継続するための工夫

• 月単位や3カ月単位で頭頂や生え際の写真を撮影し、効果の推移を客観的に把握する。
• 費用を把握したうえで長期的な予算を考え、無理のない範囲で継続できるようにする。
• 家族やパートナーに協力してもらい、生活リズムの改善やストレス軽減のサポートを受ける。

AGA治療薬でよくある質問

AGAの治療薬を使い始めるときや使い続ける中で、よくある疑問や不安があります。

ここでは代表的な質問と回答をいくつか紹介します。

フィナステリドやデュタステリドはどちらが高い効果を期待できる？

どちらも5α還元酵素をブロックする作用があります。

デュタステリドはタイプIとタイプIIの両方を抑制するので、より幅広い作用があるともいわれますが、個人差も大きいため一概には言えません。

医師と相談しながら選ぶとよいでしょう。

女性が触れると危険なのは本当？

フィナステリドやデュタステリドの錠剤を割ったり砕いたりした粉が皮膚に触れると、妊娠中の女性には胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。

そのため妊娠中の方や妊娠を希望している女性、授乳中の方は特に注意が必要です。

服薬をやめるとどうなる？

治療を中止するとDHTの産生が再び高まり、AGAが進行する可能性があります。

髪の状態が落ち着いてきても途中で勝手にやめるのは避けて、医師と相談しながら徐々に減量するなどの判断をするほうが安全です。

ミノキシジルの内服薬は市販されていない？

日本ではミノキシジルの外用薬が一般用医薬品として市販されていますが、内服薬は医療用医薬品として扱われるため基本的にクリニックでの処方が必要です。

副作用リスクなどを考慮し、医師が患者さんの状態を診たうえで処方します。

AGA治療薬使用時に困ったときに見直すリスト

• 服用の時間や飲み忘れが続いていないか
• 定期的に血液検査や肝機能検査、PSA検査を受けているか
• ストレスや栄養バランスなど生活習慣に問題はないか
• 用量や薬の種類について医師に相談しているか

まとめ

AGA（男性型脱毛症）は男性ホルモンや遺伝的要素など、複数の原因が関係して起こります。

フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルなどの治療薬をうまく使いながら生活習慣にも気を配ると、脱毛の進行を抑えつつ髪の状態を改善できる可能性が高まります。

服用を続けるうちに効果や副作用に関する不安が出たときは、医師に相談して薬の種類や用量を調整することが大切です。

費用面も事前に確認し、長期的な継続を視野に入れながらクリニックでの診察を受けてください。

以上

参考文献

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