毛根についている白い玉の正体は？食べる人もいるって本当？

「抜け毛の根っこに白い玉みたいなものがついているけど、あれは一体何なんだろう？」そのような疑問を抱いたことのある人は多いのではないでしょうか。実はあの白い玉は「毛根鞘」と呼ばれるもので、毛髪の成長や保護において大きな役割を果たしています。

しかし、この毛根鞘を食べてしまう人がいるという、驚きの事実があります。本当にそのようなことがあるのかと、にわかに信じられないのも無理のないことでしょう。

今回はこの毛根鞘について詳しく解説するとともに、それを食べてしまう症状や理由について詳しく解説します。さらに毎日のヘアケアにおける毛髪や頭皮の健康を維持するための重要な情報も一緒に提供します。

特に女性にとって、一連のトピックは重要な内容となるでしょう。最後までお読みいただき、自身の毛髪のケアに活かしてください。

また薄毛や抜け毛に悩んでおられる方は、ぜひ当院・AGAメディカルケアクリニックまでお問い合わせください。医師としての的確なアドバイスとサポートを提供いたします。

毛根についている白い玉の正体は「毛根鞘」

抜け毛などの根っこについている白い玉の正体は「毛根鞘」と呼ばれます。毛根鞘は毛髪が生えてくる場所である毛包を保護し、髪の健康を維持する重要な役割を担っています。具体的には、毛髪の成長を助けるための栄養素を供給し、毛髪の健全な成長を促進します。

そのため、抜け毛の根元に毛根鞘が付着しているということは、その髪が健康的に育っていたという証拠だといえるでしょう。

また、毛根鞘が抜け毛に見られるからといって、毛髪と一緒に大切なものまで剥がれてしまったと考える必要はありません。毛根鞘は毛髪の成長を担う大切なものではありますが、抜け毛と一緒に剥がれ落ちるのが正常だからです。

毛根鞘がなければ、髪は十分な栄養を摂取することが難しくなります。結果、健全な成長が阻害されてしまう可能性があります。

毛根鞘と皮脂の違い

毛根鞘と皮脂は見た目が似ているため、よく間違えられがちです。しかし、それぞれまったく異なる働きを持っています。

皮脂は皮脂腺から分泌されるもので、頭皮や髪を保護し、感想から守る役割を果たしています。一方の毛根鞘は、髪の根元に存在し、髪の健全な成長をサポートするのが役割です。

見分け方としては、以下の色と感触を覚えておくとよいでしょう。

• 皮脂：ベタついた感触で白色をしている
• 毛根鞘：ぷにぷにしたゼリー状で半透明である

両者の働きと役割を理解することで、ヘアケアがより効果的なものになります。

毛根鞘でわかる抜け毛危険度

抜け毛に付着している毛根鞘をチェックすることで、毛髪の状態の危険度が分かります。具体的には、以下の3つの状態になったとき、毛髪は健全な状態ではないと考えるべきです。

• 毛根鞘に血がついている
• 抜け毛に毛根鞘がついていない
• 毛根鞘が細く鋭い形をしている

順番に見ていきましょう。

毛根鞘に血がついている

毛根鞘に血が付着しているというのは、一般的には異常な状態とされ、頭皮の炎症や毛包の損傷を示している可能性があります。

原因としては、洗髪のやり方が乱暴すぎることや、寝具と頭との接着具合がよくないことなどが考えられます。自分のやり方を見直してみましょう。

この状態が持続すると、頭皮の健康が損なわれ健康な髪の毛の成長が阻害されてしまうので、抜け毛のリスクが高まってしまいます。

心当たりのあるものをすべて改めたにもかかわらず、血が付着した毛根鞘が頻繁に見られるのであれば、すぐに医療機関に相談してください。適切な診断と治療を受けることが強く推奨されます。

抜け毛に毛根鞘がついていない

抜け毛の根元に毛根鞘が見られないというのも、毛髪の状況が悪化していることを示すサインかもしれません。毛根鞘が抜け毛に付着していないということは、毛髪の成長が止まっており、毛周期が正常に機能していない可能性があるからです。

正常な毛髪の生育サイクルは、「成長期」「退行期」「休止期」の3つの段階から構成されています。毛根鞘が見られないということは、髪が成長期を経ることなく抜け落ちてしまっている可能性が考えられます。

この状況が続くと、抜け毛が増えて薄毛の症状が進行する危険があります。気になる場合は、できるだけ早めに医療機関に相談するべきでしょう。

毛根鞘が細く鋭い形をしている

毛根鞘が細く鋭い形状をしているのは、髪の毛が弱っているか、必要な栄養が不足している印である可能性があります。

髪の毛が健康的に成長するためには、適切な栄養素が不可欠です。栄養不足は抜け毛を引き起こす大きな要因の1つであり、特に毛髪の主成分であるタンパク質不足は深刻な抜け毛を招く可能性があります。

このような状況を自覚したら、バランスのよい食事やサプリメントを通して、必要な栄養素をしっかり摂取することが大切です。

毛根鞘を食べてしまうのは「抜毛症」が原因かも

世の中には、髪の毛を自分で引き抜いて毛根鞘を食べてしまう症状が存在します。この行為の背景としては、心理的な問題が考えられます。それが「抜毛症」です。

ここでは抜毛症について、その概要と原因、一般的な治療法について解説します。

参照元：認知行動療法と薬物調整の連携により改善に至った強迫関連症を複数併存していた抜毛症の一例（認知行動療法研究）

抜毛症（トリコチロマニア）とは

抜毛症とは、自分の髪の毛を引き抜いてしまう衝動性障害の一種です。患者さん自身が、その行為をコントロールすることは難しいとされています。

髪の毛を引き抜くのは、ストレスや不安感を和らげる一時的な解消策となるからと考えられています。その行為の延長として、引き抜いた髪の毛の毛根鞘を食べる行為に及ぶケースが少なくありません。

髪の毛を口にしてしまうことで、不潔な髪の毛が消化器官にたまり、お腹を壊してしまう可能性などが考えられます。

参照元：抜毛症（ MSDマニュアル プロフェッショナル版）

抜毛症の原因

抜毛症の原因は完全には判明していませんが、主に心因性のものであると考えられています。すなわち脳内の神経伝達物質のバランスの乱れ、さらにはストレスや心的トラウマといったものです。

特にストレスは症状の引き金となる強い原因となり得るもので、その高まりとともに抜毛行為が増える傾向があります。逆にいえば、ストレスをうまくコントロールすることで症状を抑えられると考えられています。

抜毛症の治療法

抜毛症の治療は、患者の心理状態に焦点を当てた心理療法がメインとなります。具体的には認知行動療法が一般的に推奨されています。この治療法の肝は、抜毛行為につながる思考パターンや感情の扱い方を学び、その行為をコントロールする技術を身に付けることです。

しかしあまりに抜毛症の症状が強い場合や、心理療法だけでは改善が見られない場合には、抗うつ薬や抗不安薬などの薬物療法も併用されることがあります。

いずれにせよ抜毛症はここの状況により適切な治療法が変わるため、症状が見られたら専門の医療機関に相談することが大切です。医師の指導のもとで治療を行うことになります。

正しい毛根のケア方法

正しい毛根のケア方法としては、主に以下の5つが挙げられます。

• 適度に運動をする
• バランスの取れた食事をする
• 正しい方法でシャンプーをする
• 育毛剤を使う
• 頭皮マッサージをする

いずれも日常生活において比較的容易に実践できるものです。以下の解説を読んで、ご自身の生活に取り入れることを検討してみましょう。

参照元：髪の健康を考える〜美しい髪で過ごすには〜（都民公開講座）

適度に運動をする

適度な運動は体全体の血流をよくし、必要な栄養素を頭皮に運ぶ役割を果たします。全身の血行がよくなることで、髪の毛を作り出す毛母細胞に栄養が届きやすくなり、健康な髪の毛が育つという段取りです。

特に有酸素運動はおすすめです。血行の促進によって頭皮へ酸素や栄養素を効率よく運ぶことにつながります。

また適度な運動はストレスの解消にもつながり、これが間接的に抜け毛を減らす効果を発揮します。ウォーキングやジョギングなどを適度に取り入れて、心地よい汗をかくことを心がけましょう。

バランスの取れた食事をする

食事は身体全体に栄養を行き渡らせる大切な行為です。髪の健康を保つためには、タンパク質やビタミン、ミネラルなどのバランスの取れた栄養素が不可欠となります。これらの栄養素は、毛髪の育成や新陳代謝を助けます。

必要な栄養素をすべて食事から十分に摂取することが理想ですが、現実的には難しい場合もあります。そんなときにはサプリメントが役立ちます。

ただしサプリメントはあくまで食事の補助的な役割であり、それ自体に髪を太くしたり脱毛を防いだりする効果はありません。あくまでも栄養摂取の手助けをするものに過ぎないことは、理解しておく必要があるでしょう。

まずは栄養バランスの取れた食事を意識し、それがどうしても達成できそうにないときにはサプリメントに頼る。このくらいの意識が理想的です。

参照元：脱毛症（ MSDマニュアル家庭版）

正しい方法でシャンプーをする

正しい方法でシャンプーをすることも、髪の毛もケアにおいてはとても重要です。シャンプーは頭皮と髪の毛を清潔に保つために欠かせない行為ですが、方法が間違っているとむしろ悪い影響が出てしまうからです。

具体的には、皮脂を過剰に取り除いて頭皮を乾燥させてしまうことなどが挙げられます。また洗い方が不十分であることで、毛穴が詰まってしまう可能性も考えられます。

正しいシャンプーの方法としては、まずシャンプー前にブラッシングを行い、頭皮の血行をよくすると同時に髪の汚れを落としましょう。その後、シャンプーを手のひらに取り、泡立ててから頭皮を優しくマッサージするように洗います。

ここで重要なのは、頭皮を激しくこすることなく、指の腹でソフトに洗うことです。またシャンプーが残らないよう、最後にしっかりと洗い流すことも怠ってはいけません。上記のポイントをしっかり押さえ、健康な頭皮と髪の毛を育てていきましょう。

育毛剤を使う

育毛剤を使うことで、頭皮の環境を整え、髪の毛が健康に育つことをサポートできます。育毛剤は主に頭皮の血行促進や抗酸化作用、抗炎症作用などを持つ成分を含んでいます。これらの成分は、毛母細胞への栄養補給を助け、毛髪の成長を健康に保つ環境を作り出すものです。

注意すべきなのは、育毛剤はあくまでも髪の毛の育成を支えるものであるということです。育毛剤は髪を生やす目的で使うものではありません。したがって、ほかのヘアケアとうまく組み合わせて育毛剤を使っていくことが重要となるでしょう。

また育毛剤を使う際には、髪の種類にあったものを選ぶことや、定期的かつ継続的に使用することなどが大切です。

頭皮マッサージをする

頭皮マッサージは、血流を促進し、髪の毛が健康に育つための良好な環境を作る方法としておすすめです。

頭皮に直接働きかけることで、血行がよくなり、栄養素が毛根に運ばれやすくなります。またマッサージにより頭皮の筋肉はリラックスするため、頭皮の緊張を解放することにもつながります。

頭皮マッサージは、ブラッシングや洗髪の際に行うのが一般的です。実践するときは頭皮に圧を加えすぎないよう、指の腹を使って優しくすることを心がけましょう。

毎日の習慣として継続することで、より効果を感じることができるはずです。無理のない範囲で日々の習慣に取り入れてみてください。

参照元：地肌マッサージの頭皮への作用（花王株式会社 ヘルスケア研究所）

薄毛の主な治療法

薄毛の悩みを抱える方々にとって、優れた治療法を選ぶことは大切な一歩となります。

治療法は大きく分けると、内服薬と外用薬の2つが存在します。それぞれに異なる特性や効果があるため、個々の症状やライフスタイル、求める結果によって使い分けることが重要です。それぞれについて見ていきましょう。

参照元：男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版（日本皮膚科学会）

内服薬

内服薬は薄毛治療の1つとしてよく知られています。この方法は、体内に直接薬物を取り入れることで毛髪の成長を促すものです。

よく使われる内服薬としては、プロペシアやフィナステリド錠といったものが挙げられます。プロペシアは認可を受けたAGA治療薬で、ヘアサイクルを正常に戻し、抜け毛は薄毛の進行を抑える効果があります。フィナステリド錠はプロペシアのジェネリック医薬品です。

ただし服用することで性欲減退や勃起不全などの副作用があるため、医師の指導のもとで服用することが強く推奨されます。

外用薬

外用薬は頭皮に直接塗布し、毛髪の成長を促す治療法です。ミノキシジルという成分が含まれた製品が広く知られており、頭皮の血流を改善し毛母細胞の活性化を促します。

それ以外にも、ステロイドなどの抗炎症作用を持つ成分を含む薬もあります。これらの薬は自宅で気軽に使用でき、副作用が少ないのが特徴です。

しかし、実際に効果を感じるまでに数ヶ月以上を要するのが一般的で、長期間にわたる仕様が求められます。それぞれの薬の特性や自身の状況をよく理解し、最適な選択をすることが重要です。

脱毛症が疑われる場合は早めに医師に相談を

毛根に存在する白い玉（毛根鞘）の話から始まり、抜け毛に関する情報を一通り解説しました。

健康な髪と頭皮を保つためには、適切なケアと食生活が必要です。結局のところ髪の毛の問題は、体の健康の問題と強く結びついています。「健康を維持するためにやるべきこと」をきちんと行うことが、毛髪を守ることにつながります。

しかしやるべきことをやっていてもなお症状が進行する場合や、それに関する自己判断が難しい場合には、できるだけ早期に専門家の意見を求めることが大切です。

専門家の指導を受ければ、自身の状況に合わせた最適な対策や治療法を早めに見つけることができるでしょう。

この記事が、あなたの髪と頭皮の健康を維持するための役に立てれば幸いです。