亜鉛が髪にいい栄養素であることはよく知られていますが、その理由を正確に理解している方は少ないでしょう。
亜鉛は意識的に取り入れないと、一日あたりの推奨量をクリアするのが難しい栄養素です。日々の食事を工夫して摂取するのが理想ですが、髪にいいからといって摂りすぎるするのはかえって逆効果です。
「亜鉛が髪にいいと言われる理由は何?」
「亜鉛を多く含む食品や一日の摂取量が知りたい」
この記事では、亜鉛がもたらす育毛効果をわかりやすく解説していきます。摂取量や多く含む食品もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
細胞の分化やタンパク質の合成など、生命維持に必要なはたらきを担う亜鉛。
必須ミネラルながら体内では生成できない栄養素なので、薄毛改善を目指す方は意識的に取り入れる努力が必要です。
亜鉛の育毛効果を深く理解するため、まずは亜鉛がどのような栄養素なのかを詳しく解説していきます。
私たちヒトの身体は、生命活動を営むために炭水化物・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラルの5大栄養素を必要とします。
このうちミネラルは、臓器や組織など身体の機能を保つはらたきをもつ栄養素です。生命維持に欠かせないミネラル(必須ミネラル)は全16種類あり、そのうちの一つが亜鉛です。
亜鉛の摂取推奨量は成人男性で10mg/日、成人女性は8mg/です。(妊婦は+2mg、授乳婦は+3mg)
亜鉛を多く含む食品を3食取り入れられれば、この推奨量をクリアするのはそう難しいことではありません。しかしながら、厚生労働省の調査では男女ともに亜鉛の摂取量が推奨量を下回っていることがわかります。(参考:厚生労働省「国民健康・栄養調査結果の概要」)
日々忙しく過ごす現代人にとって「バランスのいい食事を摂ること」自体のハードルが高いです。とくに、好き嫌いや外食が多い方は亜鉛不足に陥りやすい傾向にあるといえるでしょう。
慢性的な亜鉛不足が続くと、以下の症状が見られることがあります。
亜鉛不足で見られるもっとも多い症状が皮膚や爪の異常で、皮膚炎や口内炎、爪の白斑ができやすくなります。続いて味覚障害や抜け毛の増加が多く、男性の場合はEDや男性不妊のリスクも懸念されています。
また、子どもの亜鉛不足は成長障害(標準に比べて明らかに背が低い・痩せていること)
を招く恐れも。近年は亜鉛不足とうつ症状の関係も指摘されていて、身体のさまざまな不調と関係していることがわかります。
亜鉛の主なはたらきには、
などがあります。
ここからはそれぞれの効果をより詳しく解説していきます。
タンパク質の合成に関わる亜鉛は、皮膚や髪などタンパク質で構成される器官の成長をサポートするはたらきがあります。
亜鉛がタンパク質の代謝を促進すると肌や髪の新陳代謝も活発になり、美肌や育毛効果が期待できます。
亜鉛には動脈硬化や心筋梗塞、糖尿病など生活習慣病に関与すると言われる活性酸素を抑制するはたらきがあります。
活性酸素は、体内に侵入したウイルスを撃退して免疫機能を維持するという重要な役割を担っています。しかしながら、加齢・ストレス・過剰な飲酒・紫外線などによってその量が増えすぎると、正常な細胞や遺伝子まで破壊してしまう注意すべき存在です。
ヒトの抗酸化機能は20代をピークに低下するので、亜鉛のもつ抗酸化力で活性酸素の増加を防止することが大切です。
細胞の分化やタンパク質の合成に欠かせない亜鉛は、細胞分裂や代謝が活発な子どもにとって非常に重要な栄養素です。
子どもの亜鉛不足は低身長(成長障害)や皮膚トラブルの原因となるので、成長期の子どもの偏食や少食には注意が必要です。
味覚機能を正常に保つのも亜鉛の主要作用です。
味覚を感じとる味蕾(みらい)という細胞は短期間で生まれ変わります。細胞の分化にはたくさんの亜鉛が使われるので、亜鉛不足になると味覚障害になることがあります。
亜鉛で細胞分化(代謝)が活発になると免疫力が向上します。
近年は亜鉛不足が免疫不全を引き起こすという研究結果も発表されており、亜鉛摂取による感染症対策が注目されています。
栄養面から育毛を目指す方のため、亜鉛の多い食品をまとめました。
亜鉛の多い食品の代表として牡蠣を思い浮かべる方は多いでしょう。それもそのはず、生牡蠣100gあたりの亜鉛含有量は約14mg以上と群を抜いて多いです。
牡蠣は火を通すよりも生で食べる方が栄養が残ります。ただ、加熱しても亜鉛の含有量が多いことには変わりないので、苦手な方は加熱調理をして食べても問題ありません。
牛肉やたまごレシピの種類も幅広いので、自炊や家庭料理を食べる機会の多い方は積極的に取り入れることをおすすめします。また、ナッツ類にも亜鉛が多く含まれるので、お酒を飲む方はおつまみとしてナッツを摂取するのもいいですね。
2020.11.27
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食事だけで亜鉛の推奨摂取量をクリアするのが難しい方は、育毛効果の高い栄養素を手軽に摂取できるサプリメントがおすすめです。
育毛サプリには、亜鉛はもちろんのこと髪の成長に必要な成分が豊富に配合されています。飲むだけで亜鉛を効率よく摂取できるので、栄養バランスを意識した食事が難しい方でもはじめやすいのが嬉しいポイントです。
おすすめの育毛成分には、
などがあります。育毛サプリを選ぶ時はこれらの成分が含まれる商品を選ぶのがいいでしょう。
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最後は、亜鉛と育毛について患者様からよくいただく質問にお答えしていきます。
副作用ではありませんが、過剰摂取で体調を崩す可能性が考えられます。
副作用は「薬物を服用(使用)した時に認められる望ましくない症状」という意味なので、正確にいうと医薬品でない亜鉛で副作用が生じることはありません。
ただし、推奨摂取量を大幅に超えて摂取した場合に頭痛・吐き気・食欲不振・下痢などの症状が見られることがあります。これは亜鉛の過剰摂取によって銅や鉄分の吸収が阻害されることが原因です。
栄養素としての亜鉛に毒性はほとんどないので、推奨摂取量を大幅に超えなければ問題ありません。
あります。
亜鉛は性別を問わず同じ効果をもたらしますので、薄毛でお悩みの女性も亜鉛の積極的な摂取を心がけるといいでしょう。
本当です。
コーヒーに含まれるタンニンには、亜鉛の吸収を妨げるはたらきがあります。コーヒーをよく飲む習慣のある方は、亜鉛の多い食品や育毛サプリを摂取したあとすぐにコーヒーを飲むのは控えたほうがいいでしょう。
ビタミンCとクエン酸には亜鉛の吸収を高める効果があります。
ビタミンCとクエン酸どちらも多く含むレモンは、亜鉛が豊富な牡蠣との相性が抜群です。
亜鉛の吸収を妨げる成分とそれを多く含む食品は以下の通りです。
亜鉛の吸収を妨げる成分 | 多く含まれる食品 |
---|---|
フィチン酸 | 豆類、穀物など |
タンニン | コーヒー、紅茶、緑茶など |
リン酸 | 玄米、カニ、いくら、加工食品(がんもどき、きな粉、凍り豆腐)など |
このほか、食物繊維も量が多すぎると亜鉛の吸収を阻害します。
細胞の分化をサポートし髪の成長を促す亜鉛は、薄毛の悩みを軽減してくれる栄養素の一つです。
亜鉛不足は抜け毛の増加につながるため、成人男性は1日あたり10mgの亜鉛摂取を意識することが大切です。難しい場合はサプリメントを活用して、身体の内側から育毛ケアに取り組みましょう。
当院では、処方薬や注入法はもちろんのこと食事による薄毛改善についてもご案内可能です。どんな些細なことでも構いませんので、不安を解消できるようお気軽にご相談ください。
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