市販の女性向け育毛剤の効果は？クリニックの治療薬との違いを解説

40代以降の女性は薄毛症状を発症しやすいといわれており、分け目が広くなったり、髪の毛のボリュームが減ったりします。薄毛症状を改善するためにどのような育毛剤を選ぶとよいかを解説します。

育毛剤の効果や選ぶ基準を知らないまま育毛剤を使用すると、十分な効果が得られないかもしれません。本記事では女性向け育毛剤の特徴や効果、成分などを解説します。育毛剤の基本的な情報を把握しておくことで、より自分の薄毛症状に合った育毛剤を選択できるようになります。

なお、当院は男性専門のAGAクリニックのため、女性の薄毛治療は行っておりません。お近くの提携院をご紹介しておりますので、お気軽にご相談ください。

育毛剤とは

育毛剤とは、頭皮環境を整えることで抜け毛を防ぐ効果を得る医薬部外品です。ほとんどの育毛剤は処方箋がなくとも購入できるため、ドラッグストアやオンラインショップなどで手に入れることができます。

育毛剤は頭皮に塗って使用するタイプのものが多く、毎日のヘアケアに取り入れやすい薄毛対策として知られています。具体的には頭皮の血行促進や、保湿、炎症を抑えることで健康な髪の毛の維持が目的です。

性別に合わせて有効成分を配合されており、女性向け・男性向けの育毛剤があります。女性が男性用育毛剤を使用するとリスクを伴う場合もあるため、女性用育毛剤を使用しましょう。

参照元：育毛薬剤の開発と評価方法（日本香粧品学会誌）

育毛剤と発毛剤の違いは？

育毛剤と発毛剤は混同されがちですが、商品の分類と効果が異なります。発毛剤は医薬品、育毛剤はほとんどが医薬部外品として販売されています。そのため発毛剤の使用には、医師の診察と処方箋が必要です。反対に育毛剤は誰でも市販品の購入ができ、入手がしやすいことが特徴です。

発毛剤は薄毛の改善、育毛剤は薄毛予防の効果が期待できます。発毛剤は毛根を活性化させたりホルモンに作用したりして、新しい髪の毛を生やす効果が見込めます。一方で育毛剤は発毛を促すことはできません。育毛剤の主な役割は頭皮環境を改善して、抜け毛を防ぎつつ髪の毛を健康な状態に保つことです。

自分の薄毛症状に合わせて、育毛剤を使い分けるとよいでしょう。育毛剤で十分かどうか判断に迷う場合は、クリニックでカウンセリングを受けることをおすすめします。

男性向け育毛剤との違いは？

女性と男性では、薄毛になる原因が異なります。そのため、性別に合わせて効果や使用する成分を変えている育毛剤も多く見受けられます。以下のような特徴を持つ育毛剤は、男性向けの可能性が高いため注意しましょう。

• 皮脂汚れにアプローチする
• メントールが配合されている
• 男性ホルモンをコントロールする

男性向けの育毛剤は、女性向けに比べて刺激が強かったり保湿力が低かったりするものが多い傾向にあります。より高い育毛効果を求めるなら、女性は女性向けの育毛剤を使用するとよいでしょう。

女性向け育毛剤に使われる成分

女性向け育毛剤に用いられる成分を以下の表にまとめます。あらかじめ育毛剤に含有されている成分や効果を把握しておくと、自分に合う育毛剤を選びやすくなるでしょう。ぜひ参考にしてください。

成分名	効果
アデノシン	頭皮の血行を促進 太く健康な髪の毛の維持
センブリエキス	頭皮の血行を促進 抜け毛の防止
t-フラバノン	抜け毛の防止 髪の毛を太くする

参照元：

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版（日本皮膚科学会）

育毛薬剤の開発と評価方法（日本香粧品学会誌）

女性向け育毛剤を使う際の注意点

女性向け育毛剤を使用する際はいくつか注意点があります。女性向け育毛剤は、以下の5つに気を付けて使用しましょう！

• 妊娠中や授乳中は育毛剤を使用しない
• 事前にパッチテストを実施する
• 頭皮にかぶれが起こったら使用を中止する
• 炎症やケガのある部分には塗布しない

女性は肌がデリケートな人が多く、肌に合わないものを使用するとかぶれや炎症を引き起こす場合があります。使用感や肌の状態に注意してください。

育毛剤の使用にあたって心配な点があるならば、個人の判断で使い始めるのは禁物です。肌が弱い人やアレルギーがある人などは、あらかじめ医師に相談のうえ育毛剤を使用してください。

育毛剤以外でできる薄毛対策

育毛剤を使わずにできる薄毛対策もあります。以下の5つは、日常生活に取り入れやすい薄毛対策です。

• 食生活を見直す
• 頭皮をマッサージする
• 頭皮に負担をかけない
• ストレスを溜めない
• 十分に睡眠を取る

それでは一つずつ解説します。

食生活を見直す

薄毛に悩んでいる女性は、食生活を見直すことから始めてみましょう。髪の毛は食事から得た栄養を元に作られます。そのため食生活が乱れていると、髪の毛に悪影響を及ぼす可能性があります。

ダイエットによる過度な食事制限は、薄毛を進行させる原因の一つです。髪の毛が十分な栄養を得られないと、髪質の悪化や脱毛を招きます。自分の体や生活に合わせた、適切なカロリーを摂取するよう心がけましょう。

また食生活を見直す際は、栄養バランスにも気を付けることが大切です。3大栄養素をバランスよく取り入れ、ビタミンやミネラルを意識的に摂取することをおすすめします。

参照元：脱毛症（ MSDマニュアル家庭版）

頭皮をマッサージする

肩こりや指先の冷えの症状がある女性は、頭皮の血行不良を起こしているかもしれません。薄毛対策のために、毎日のヘアケアに頭皮マッサージを追加しましょう。頭皮マッサージには、血行促進やこりの解消などの効果が期待できます。

指の腹で優しく圧をかけ、じっくりともみほぐしてください。力が強すぎるとかえって頭皮の負担になるため、心地よいと感じる程度の力でほぐすことがポイントです。女性は血行不良に陥りやすいため、毎日1回は頭皮マッサージをする習慣をつけるとよいでしょう。

参照元：地肌マッサージの頭皮への作用（花王株式会社 ヘルスケア研究所）

頭皮に負担をかけない

薄毛が気になる女性は、パーマやヘアカラーをする頻度に気を付けてください。パーマ液やカラー剤は頭皮に刺激を与え、炎症を起こす恐れがあるからです。頭皮の炎症によって頭皮環境が悪化すると、健康な髪の毛の維持が困難になります。

おしゃれのために、こまめに白髪染めをしたりパーマをかけたりする女性も多くいます。しかし頭皮への負担を考慮して、少なくとも1〜2ヶ月は間隔を空けることを推奨します。

参照元：脱毛（川崎市立多摩病院 外来化学療法室）

ストレスをためない

過度なストレスは自律神経やホルモンのバランスを乱し、薄毛を進行させます。そのため、ストレスをため過ぎないことが薄毛対策には大切です。

自律神経のバランスが崩れると血行不良を引き起こすと、頭皮へ栄養が行き届かなくなり、髪の毛が痩せたり抜けたりするようになります。ホルモンバランスの乱れによって男性ホルモンの分泌が増えると、脱毛や頭皮環境の悪化を招きます。

自分に合ったストレス解消法で、気持ちのリフレッシュを心がけましょう。

参照元：男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版（日本皮膚科学会）

十分に睡眠を取る

睡眠不足は薄毛にとって大敵です。睡眠時間が少ない人は、薄毛の進行を加速させている恐れがあります。すぐにでも睡眠時間を確保するようにしましょう！

「成長ホルモン」という髪の毛の発生や成長を促すホルモンは、就寝中に分泌されます。睡眠時間が不足すると成長ホルモンが十分に分泌されず、髪の毛の成長を妨げます。成長ホルモンは髪の毛だけでなく肌代謝にも関係しており、女性の美容に欠かせないホルモンです。成長ホルモンの分泌を促すために、少なくとも6時間は睡眠を取ることをおすすめします。

参照元：脱毛症（ MSDマニュアル家庭版）

FAGAの症状がある場合はクリニックでの治療が必要

FAGAは完治せず、薄毛の症状は進行する一方です。薄毛の予防を目的とする育毛剤では、FAGAの改善はできません。FAGAを発症したらクリニックでの治療を検討しましょう。

FAGAとは

FAGAとは女性男性型脱毛症とも呼ばれる、女性特有の脱毛症を指す言葉です。脱毛症は男性がなるものというイメージが強いですが、近年では脱毛症に悩まされる女性が増えています。FAGAは年代を問わず発症し、早い人では10代で薄毛症状が現われます。

FAGAは前額部や頭頂部などが部分的に薄くなる男性の薄毛の進行パターンとは異なり、頭部全体が薄くなることが特徴的です。髪の毛のボリュームが全体的に減少し、頭皮が透けて見えるようになります。FAGAでは、以下のような症状が現われます。

• 頭部が全体的に薄くなる
• 抜け毛が増える
• 髪の毛が細くなる
• 髪の毛の分け目が広がる

FAGAによる薄毛症状は、育毛剤での改善は難しいとされています。予防ではなく、発毛を目的とした治療方法で改善を目指しましょう。

参照元：男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版（日本皮膚科学会）

FAGAの原因

FAGAは女性ホルモンの減少や生活習慣の乱れ、ストレス、遺伝などの要因によって起こります。原因の特定が難しいため、女性の薄毛治療は難しいといわれています。主な原因は女性ホルモンの減少ではないかと考えられていますが、現時点では医学的にはっきりとしたことは分かっていません。

FAGAはあらゆる要因が複雑に絡み合って起こる脱毛症です。そのため対策も一筋縄ではいきません。だからこそ、女性が薄毛対策をする場合は、ホルモンバランスだけでなく生活リズムやストレス、日々のヘアケアなど、多くのポイントを意識する必要があります。

女性が薄毛を発症したら、対策を一つに絞らず、多角的にアプローチすることをおすすめします。

FAGAとAGAとの違い

FAGAはAGAの女性版と表現されることもありますが、実際には両者はまったくの別物です。FAGAは女性特有の脱毛症のため、AGAと異なる点が多く見られます。

ここではFAGAとAGAの原因、症状、進行パターンを表にしてまとめます。二つの違いを見比べてみましょう！

	FAGA （女性男性型脱毛症)	AGA （男性型脱毛症)
原因	女性ホルモンの減少 生活習慣の乱れ ストレス 遺伝 頭皮環境の悪化	男性ホルモン（DHT）の産生
症状	抜け毛が増える 毛が細くなる 頭皮が透けて見える 分け目が広がる 髪の毛のボリュームがなくなる	抜け毛が増える 毛が細くなる 頭頂部が円形に薄くなる 前額部の左右が後退する 前額部が全体的に後退する
進行パターン	頭部が全体的に薄くなる	局所的に薄くなる

上記の表で分かる通り、FAGAとAGAでは原因から症状、進行パターンに至るまでまったく異なります。そのためFAGAが発症したら、FAGAに合った治療法での対策が大切です。

女性の薄毛・抜け毛を治療する方法

女性がFAGAを発症したら、どのように治療すべきでしょうか？ここでは、女性の薄毛・抜け毛を治療する4つの方法をご紹介します。

• 内服薬
• 外用薬
• メソセラピー
• 植毛

治療方法ごとに詳細をまとめます。

参照元：男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版（日本皮膚科学会）

内服薬

FAGAを発症したら、まずは内服薬で治療するケースがほとんどです。内服薬には「パントガール」や「ミノキシジル」が処方されます。主に育毛効果が得られるのがパントガールで、発毛効果を期待できるのがミノキシジルです。

パントガールは女性用の薄毛治療薬として知られる内服薬で、頭皮環境の改善やタンパク質の生成を促進する役割を担います。パントガールの働きによって、太くてしっかりとした髪の毛を維持できるようになります。

一方でミノキシジルは男性の薄毛にも処方されており、外用薬よりも大きな発毛効果を発揮することが特徴的です。ミノキシジルの血管を拡張させる働きによって、頭皮へ栄養が行き渡ります。

内服薬は毎日服用し、3〜6ヶ月ほど継続すると発毛・育毛効果を感じられます。服用を中止するとたちまち治療前の薄毛状態に戻るため、薄毛が気になる間は服用し続けるようにしましょう。なお、妊婦や妊娠の可能性がある人や授乳中の人は内服薬での治療はできません。

外用薬

女性の薄毛治療では、内服薬とあわせて外用薬を使用するのが一般的です。発毛成分が含まれた外用薬を頭皮に塗って、薄毛の改善を目指します。外用薬には発毛成分として「ミノキシジル」が用いられることがほとんどです。ミノキシジルが毛包を活性化し、頭皮の末梢血管を拡張させることで、発毛・育毛効果が得られます。ミノキシジルの外用薬には濃度が異なるいくつかの種類が存在しますが、女性の薄毛治療には1%のものが処方されます。

ミノキシジルの外用薬は、一日に2回の塗布によって発毛を促します。外用薬は治療してすぐに髪の毛が生えてくるわけではありません。効果を実感するまでには約半年がかかります。見た目が気になる場合は、発毛するまでウィッグを併用するとよいでしょう。

メソセラピー

メソセラピーとは、発毛因子や成長因子などを頭皮に注射する施術です。発毛因子や成長因子には、髪の毛の発生や成長を促す作用があります。

メソセラピーは髪の毛の発生・成長の要となる成分をダイレクトに頭皮に注入するため、内服薬や外用薬に比べて早く効果を実感できます。定期的に注射するだけで、毎日の服薬やケアなどは必要ありません。

メソセラピーを受ける回数は6〜16回ほどです。薄毛の状態や体質により頻度は異なりますが、2〜4週間に一度のペースで施術を受けます。メソセラピーで注入する発毛因子や成長因子は、毛包にアプローチします。毛包がなくなっていると効果が得られません。

メソセラピーでの薄毛治療を検討している女性は、なるべく早くクリニックに足を運ぶようにしましょう。

植毛

ランニングコストや毎日ケアする手間を抑えたい女性には、植毛がおすすめです。植毛には自分の毛髪を利用する「自毛植毛」と、ポリエステルやナイロン製の人工毛を植え付ける「人工毛植毛」があります。自毛植毛は生着率が高く、仕上がりが自然なことから、女性に好まれる植毛方法です。

自毛植毛の手術では、薄毛が起きていない部分から毛包を採取し、薄毛部分に埋め込みます。植毛した髪の毛が生着すると、ほかの髪の毛と同じように発生や成長を繰り返すようになります。植毛手術をしてしまえば、メンテナンスや毎日の薄毛ケアをする必要はほぼなくなるため、手間がかかりません。

ほかの方法に比べて一回の出費は高額ですが、早い段階で植毛をすれば薄毛治療にかかるトータルコストを削減できる可能性があります。

女性の薄毛を治すならクリニックに相談を

女性の薄毛は、あらゆる要因が複雑に絡み合って引き起こされます。そのため女性の薄毛治療は難しいといわれています。特にFAGAを発症している場合は、育毛剤だけでの対処は困難で、クリニックで本格的な治療を受けることが必要です。育毛剤を使用してもなかなか効果を実感できない女性は、クリニックに通うことを検討してみてください。

女性の薄毛治療を専門に扱うクリニックもあり、内服薬や外用薬、メソセラピー、植毛などの方法からあなたにぴったりな治療法を提案してくれるでしょう。無料カウンセリングを実施しているクリニックなら、料金を気にせず相談できます。まずは気軽に医師に相談してみましょう。