女性のAGA（FAGA）の原因は？薄毛の治療方法も詳しく解説

髪の毛は女性の命ともいわれるように、女性のファッションや印象作りで髪の毛は大切な役割を果たしています。それだけに、髪の毛が薄くなると心配になりますよね。薄毛は男性がなるものという認識から、薄毛になったことを恥ずかしく感じる人もいるでしょう。

しかし、AGAは男性だけのものではありません。近年ではAGAに似た症状が現れる、FAGAという女性特有の脱毛症に悩む人が増えています。FAGAは治療できるため、薄くなった髪の毛を取り戻すことが期待できます。

本記事では、FAGAの症状や原因、治療方法などの詳細を解説します。FAGA以外に考えられる女性の薄毛の原因も解説しますので、自分の薄毛症状や原因を把握して、適切なケアを行いましょう。

なお、当院は男性専門のAGAクリニックのため、女性の薄毛治療は行っておりません。お近くの提携院をご紹介しておりますので、お気軽にご相談ください。

女性のAGA（FAGA）とは

女性のAGA（FAGA）とは、女性特有の脱毛症を指す言葉です。女性型脱毛症とも呼ばれます。ここではFAGAの基本情報をまとめます。以下3つのポイントを参考に、まずはFAGAの概要をつかみましょう。

• FAGAのメカニズム
• 男性の薄毛「AGA」との違い
• FAGAを見分けるポイント

FAGAのメカニズム

FAGAを発症する主な原因は、ホルモンバランスの乱れです。頭皮に存在する5αリダクターゼという酵素は、男性ホルモンと結びつくとDHT（ジヒドロテストステロン）と呼ばれる脱毛を促す物質に変化します。加齢や生活習慣などによって女性ホルモンが減少して男性ホルモンの割合が増すと、DHTの産生が活発になり、FAGAを発症します。

しかし、FAGAの詳しいメカニズムはいまだに解明されていません。FAGAの発症には、ホルモンバランス以外の要因も関係していると考えられています。FAGAの治療はホルモンバランスだけでなく、多角的にアプローチを行うことが大切です。

男性の薄毛「AGA」との違い

AGAとFAGAの大きな違いは薄毛の進行パターンです。AGAは、前額部や頭頂部が部分的に薄くなるのが特徴です。AGAの進行パターンは、前額部の両サイドが後退するM字型、前髪の生え際が後退するU字型、頭頂部が円状に薄くなるO字型に分けられます。

一方のFAGAは、部分的に薄くなることはありません。頭部全体が薄くなり、頭皮が透けて見えるようになったり分け目が広がったりするようになります。頭部全体が徐々に薄くなるため、FAGAはAGAに比べて発症に気が付きにくいでしょう。

参照元：女性のびまん性脱毛症（徳島県医師会Webサイト）

FAGAを見分けるポイント

女性が薄毛になったら、自分がFAGAか否かを確認しましょう。ここではFAGAを見分けるポイントを6つ紹介します。該当する項目がないかチェックしてください。

• 抜け毛が増えた
• 短い髪の毛が抜ける
• 頭部が全体的に薄くなった
• 分け目が広くなった
• 髪の毛が細くなった
• 頭皮が透けて見える

FAGAになると、慢性的に抜け毛の量が増える傾向にあります。さらに症状が進行している場合は、抜け毛が短くなります。進行パターンも特徴的で、頭部全体が徐々に薄くなっていくケースがほとんどです。

FAGAは男性のAGAのように一部が極端に薄くなることは稀なため、発覚が遅くなりがちです。早い段階で治療をするためにも、抜け毛が多くなったと感じた時点でクリニックへ足を運ぶことをおすすめします。

女性のAGA（FAGA）以外の脱毛症

脱毛症にはあらゆる種類があります。薄毛になった際は女性のAGA（FAGA）だけはなく、他の脱毛症の可能性も視野に入れましょう。

• 牽引性脱毛症
• 産後脱毛症
• 脂漏性脱毛症
• ひこう性脱毛症
• 円形脱毛症

それぞれの脱毛症の症状や原因など、詳細をまとめます。自分の症状に当てはまるものがないか確認してみましょう！

髪が引っ張られることで起こる「牽引性脱毛症」

牽引性脱毛症とは、髪の毛が引っ張られることで起こる脱毛症です。ポニーテールやお団子、編み込みなどの、髪の毛に強い負荷がかかる髪型を頻繁にすることで起こります。特に髪の毛が長い女性が牽引性脱毛症を起こしやすく、年齢に関係なく発症します。

牽引性脱毛症は髪の毛の生え際が薄くなるケースが多く、全体的に薄毛になることは稀です。毎日髪の毛をまとめる習慣があり、特定の部分のみ薄くなっている場合は牽引性脱毛症を疑いましょう。

牽引性脱毛症は、頭皮を休ませることで改善する余地があります。しばらく髪を結ぶのをやめたり、ショートヘアにしたりして様子を見ましょう。

参照元：脱毛症（MSDマニュアル プロフェッショナル版）

産後のホルモンバランスの乱れによる「産後脱毛症」

産後に薄毛になった女性は「産後脱毛症」の可能性が高いでしょう。出産を終えてしばらくすると、一度に多くの髪の毛が抜け落ちます。しかしこれは、産後のホルモンバランスの変化による一時的な脱毛の場合がほとんどです。

妊娠中は女性ホルモンの分泌が増加し、髪の毛が抜けにくい状態になります。出産を終えて元のホルモンバランスに戻ると、妊娠の影響で頭皮に留まっていた髪の毛がまとまって脱毛します。

本来は妊娠中に抜け落ちる予定の髪の毛なので、特別に焦ることはありません。産後脱毛症であれば、治療せずとも髪の毛が生えてくるでしょう。

参照元：女性のびまん性脱毛症（徳島県医師会Webサイト）

皮脂の過剰分泌で起こる「脂漏性脱毛症」

脂性肌の女性が薄毛になったら「脂漏性脱毛症」を起こしているかもしれません。脂漏性脱毛症は、過剰分泌された皮脂が頭皮環境を悪化させて起こる脱毛症です。脂漏性脱毛症は頭皮にかゆみや湿疹、フケなどが現われ、抜け毛を引き起こします。放っておくと新たに生える髪の毛の質が悪化し、細く抜けやすい髪の毛しか生えなくなります。

脂漏性脱毛症の主な原因は、男性ホルモンによる皮脂腺の刺激です。セルフケアでの改善は難しいため、脂漏性脱毛症が疑わしい場合はクリニックを受診しましょう。

フケを伴う「ひこう性脱毛症」

頭皮にかゆみやフケがある人は、ひこう性脱毛症を疑いましょう。大量のフケの発生は、ひこう性脱毛症の特徴です。シャンプーのすすぎ残しや刺激の強い整髪料の使用、頭皮の洗いすぎが原因で引き起こされます。

ひこう性脱毛症によって発生したフケは頭皮の毛穴を詰まらせ、頭皮の炎症を招きます。頭皮の炎症が悪化すると髪の毛が抜け、髪の毛が薄くなるのです。

ひこう性脱毛症の治療には、頭皮のかゆみや炎症を抑える軟膏が用いられます。それと同時に、頭皮の皮脂バランスを整えることを目指します。

髪の一部が円形に抜ける「円形脱毛症」

円形脱毛症は名前の通り、髪の毛が円状に抜け落ちる脱毛症です。メカニズムはいまだに解明されていませんが、現在では自己免疫疾患の影響で起こると考えられています。円形脱毛症は軽度であれば一部の脱毛で済みますが、重症化するといくつもの円形脱毛症がつながり、やがて頭部全体が薄くなります。

円形脱毛症は原因がはっきりと分かっておらず、残念ながら予防はできません。症状が現われたら内服薬や外用薬、注射を用いて治療を行います。放置すると悪化しかねないため、円形の薄毛を見つけたら一日も早く治療を受けることが大切です。

参照元：円形脱毛症とはどのような病気なのでしょうか？（公益社団法人日本皮膚科学会）

女性のAGA（FAGA）の原因

女性のAGA（FAGA）は原因を一つに絞ることが難しく、あらゆる要因が絡み合うことで発症します。ここでは、FAGAの原因となり得る要素6つを紹介します。

• 生活習慣の乱れ
• ストレス
• ダイエットによる栄養不足
• 遺伝
• 身体の異常
• 薬剤の影響

上記6つに思い当たる項目がある人は、改善することで薄毛対策ができるかもしれません。それでは1つずつ解説します。

生活習慣の乱れ

乱れた生活習慣は頭皮の血行不良や髪の毛の栄養不足を招き、FAGAの原因となります。以下に好ましくない生活習慣の例を挙げるので、当てはまる項目がないかチェックしましょう。

• 睡眠不足
• 運動不足
• 偏った栄養バランスの食事
• 飲酒
• 喫煙

これらは髪の毛の発生や成長を妨げる恐れのある生活習慣です。FAGAを防ぐためには、健康的な生活は必要不可欠です。バランスのよい食事と十分な睡眠、適度な運動を心がけるようにしましょう。

また飲酒や喫煙は頭皮の毛細血管を収縮させ、髪の毛の栄養吸収を阻害します。禁酒・禁煙が難しい人は、少しずつ量を減らすことから始めてみてください。

参照元：脱毛症（ MSDマニュアル家庭版）

ストレス

ストレスをため込むこともFAGAの原因の一つです。ストレスによって自律神経のバランスが乱れると血行不良に陥り、髪の毛に十分な栄養が届かなくなるからです。血液から栄養が得づらくなると髪の毛は痩せ、脱毛しやすくなります。

ストレスは睡眠にもネガティブな影響を及ぼし、睡眠障害を引き起こす場合もあります。髪の毛の発生や成長を促すホルモンは就寝中に分泌されるため、ストレスによる睡眠不足は髪の毛の健康を脅かす大敵です。

ストレスは抱えたままにすると、FAGAだけでなく体にあらゆる不調を引き起こします。適度にストレスを解消し、心身ともにリフレッシュしましょう。

ダイエットによる栄養不足

厳しいカロリー制限によるダイエットが、FAGAの原因となる場合もあります。摂取カロリーが過度に少ないと、頭皮に十分な栄養が行き渡らなくなるためです。その結果、髪の毛が細く弱くなり、成長途中で抜け落ちるようになります。

また頭皮が慢性的な栄養不足に陥ると、新たに生えてくる髪の毛の質が悪化し、脱毛しやすくなります。

スタイルを維持するためにダイエットに取り組む女性は多くいますが、過度なカロリー制限は控えましょう。食事によって得た栄養が健康な髪の毛を育てます。ダイエットする際は、摂取カロリーが自分の基礎代謝量を下回らないよう注意してください。

参照元：脱毛症（ MSDマニュアル家庭版）

遺伝

FAGAが発症するのには、遺伝が深く関係しています。FAGAを引き起こすDHTの産生に関わる酵素の活性度や、DHTを需要するレセプターの有無などは遺伝によって決定されるからです。酵素の活性をする遺伝子は優性遺伝にあたります。つまり、両親のどちらかがその遺伝子を持っていると高い確率で遺伝します。

遺伝によるFAGAは体質によるものなので、予防は困難です。家系に薄毛の人がいる場合は特に、薄毛の症状の有無を定期的にチェックする必要があります。薄毛の症状が見られたら、なるべく早くクリニックで医師に相談しましょう。

参照元：男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版（日本皮膚科学会）

体の異常

急激に薄毛が進行した場合は、身体の異常を示すサインかもしれないので注意しましょう。感染症や病気には、脱毛の症状を伴うものがあります。

たとえば女性が罹患しやすい「全身性エリマトーデス」という膠原病は、多量の抜け毛が起こるケースが報告されています。膠原病は髪の毛の脱毛が起こりやすい疾患の一つです。ほかにも抜け毛、薄毛が起こる可能性のある感染症や病気を以下にまとめます。

• 膠原病
• 甲状腺機能低下症
• 副腎皮質機能不全症
• 亜鉛欠乏症
• 梅毒
• ケルスス禿瘡

病気によって薄毛になると、場合によっては治療が遅れると髪の毛が生えなくなります。抜け毛が急増したら、早めにクリニックを受診しましょう。

参照元：

全身性エリテマトーデス（SLE）（指定難病４９）（難病情報センター）

脱毛症 Q17 – 皮膚科Q＆A（公益社団法人日本皮膚科学会）

薬剤の影響

薬の副作用で髪の毛が薄くなる場合もあります。副作用で脱毛が起こる薬として、広く知られているのは抗がん剤です。しかし、抗がん剤のほかにも脱毛を招く恐れがある薬は数多く存在します。

たとえば抗うつ剤や性ホルモン製剤、てんかん治療薬も、服用によって薄毛を引き起こす可能性があります。

常用薬がある人は、医師や薬剤師に副作用の有無を確認しましょう。

参照元：脱毛症（ MSDマニュアル家庭版）

女性のAGA（FAGA）を治療する方法

女性のAGA（FAGA）を発症したら、なるべく早く治療を始めましょう！

ここでは、FAGAの治療方法を解説します。FAGAの主な治療方法は以下の4つです。

• 内服薬
• 外用薬
• メソセラピー
• 植毛

それでは、治療方法ごとの詳細を見ていきましょう。

参照元：男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版（日本皮膚科学会）

内服薬

女性がFAGAを発症したら、発毛や育毛に効果のある内服薬で治療を行うのが一般的です。FAGAの治療には「ミノキシジル」や「パントガール」などの薬を用います。

内服薬は毎日服用し続けることで発毛・育毛効果を得ます。治療を始めてから約3〜6ヶ月で効果が実感できるでしょう。

内服薬は効果が大きい治療法ですが、副作用が起こる可能性もあります。クリニックを受診し、医師のアドバイスのもと正しい服用方法で治療を行いましょう。

外用薬

女性のAGA（FAGA）には、発毛成分が配合された外用薬での治療も効果的です。外用薬を一日に2回、頭皮に塗ることで発毛を促します。治療には「ミノキシジル」が含まれる外用薬を用いることが多く、頭皮の血行促進や毛乳頭を活性化する役割を果たします。

ミノキシジルは製品によって濃度が異なり、女性のFAGAの治療には1%のものを使用します。

外用薬は内服薬と同じく、毎日の使用が欠かせません。治療開始から約3〜6ヶ月で効果が感じられます。外用薬には市販品もありますが、より大きな発毛効果を求めるのであればクリニックで処方されるものを使用するのが賢明です。

メソセラピー

メソセラピーは、成長因子や発毛因子を頭皮に注入する治療方法です。頭皮の毛乳頭に対して直接アプローチするため、内服薬や外用薬よりも短い期間で発毛効果を得られます。

メソセラピーは、FAGAの症状に合わせて2〜4週間に一度のペースで頭皮に注射をします。治療はクリニックでの注射だけなので、薬を飲んだりホームケアをしたりする必要がありません。毎日の服薬やお手入れの手間を省きたい人にはぴったりな治療方法です。

ただし、毛包が死滅しているとメソセラピーによる効果を得られません。メソセラピーでのFAGA治療を検討している女性は、なるべく早めにクリニックを受診しましょう！

植毛

FAGAは植毛でも治療ができます。植毛には自分の毛包を移植する「自毛植毛」と、ポリエステルやナイロンでできた髪の毛を使う「人工毛植毛」があります。女性には、生着しやすく仕上がりが自然な自毛植毛がおすすめです。

自毛植毛で植えた髪の毛は、生着後に他の髪の毛と同じように発生と成長を繰り返すようになります。手術後にメンテナンスや毎日のケアをする必要がほとんどなく、手間がかからない治療方法です。

料金は薄毛の症状によって異なり、FAGAの発症から日が浅いほど費用が抑えやすい傾向にあります。

女性のAGA（FAGA）は皮膚科で治療できる？

FAGAは皮膚科で治療ができます。しかし皮膚科での治療は軽度の症状に対してのみ有効で、重度になると効果が得にくいケースが多く見受けられます。これは、皮膚科で行う治療が肌トラブルの改善にフォーカスしていたり、処方する薬の種類が限定されていたりするためです。皮膚科はFAGA治療を専門的に扱っているわけではないので、致し方ありません。

本格的なFAGAの治療を受けたい人は、AGA（FAGA）クリニックを受診するとよいでしょう。AGA（FAGA）クリニックは皮膚科に比べて過去の症例も豊富で、症状に合わせたあらゆる治療法を提案してもらえます。近場にあるクリニックを探してみてください。

女性のAGA（FAGA）に保険は適用される？

女性のAGA（FAGA）の治療は、残念ながら保険の適用外です。FAGAは放置しても命や健康を脅かすことはないため、保険適用が受けられません。またFAGAの治療にかかる費用は、医療費控除の対象外です。

しかし受診時に薄毛の原因が別の疾患によるものだと発覚した場合は、保険が適用されるケースもあります。脱毛症の種類や原因は素人による判別が難しいため、実際にクリニックを訪れるまでは保険適用の可否がはっきりと分かりません。

まずはクリニックでカウンセリングを受け、自分の脱毛症の分類をつきとめましょう。

女性のハゲを治すならクリニックに相談を

女性のAGA（FAGA）はホルモンバランス以外にも、ストレスや生活習慣などのあらゆる要素が関与して引き起こされることが分かりましたね。FAGAは原因の特定が難しいため、セルフケアだけでの改善は困難でしょう。薄毛の改善のためには医師に相談して、症状に合わせた適切な治療を受けることが大切です。

髪を大切にする女性は、なるべく短期間で薄毛を解消したいですよね。FAGAは、症状が進行するほどに改善にかかる期間が伸びる傾向にあります。抜け毛が増えたり髪の毛が薄くなったりしたことを実感したら、早めに治療を受けましょう！

FAGAを専門に扱うクリニックもあるので、まずはカウンセリングで自分の薄毛症状を相談してみてください。