AGA治療薬「フィナステリド」効果と副作用

本記事では、AGA治療薬「フィナステリド」の効果と副作用について解説しています。

その他AGA治療薬との違いや禁忌事項、フィナステリドを用いた治療例も画像付きで説明しているので、AGA治療を検討中の方はぜひ最後までお読みください。

フィナステリド錠とは？AGA治療で用いられるジェネリック医薬品

製剤名	フィナステリド錠
有効成分	フィナステリド
薬効分類名	5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬
効果・効能	AGA（男性型脱毛症）の進行遅延
服用方法	1日1回1錠を服用
副作用	男性機能の低下・肝機能障害・過敏症など
禁忌	以下に該当する人への投与不可 ・本剤の成分に対し過敏症の既往歴がある ・妊婦または妊娠している可能性のある女性、および授乳中の女性

フィナステリド錠は、AGA（男性型脱毛症）の進行を予防する薬です。

もとは前立腺肥大症の治療薬として開発された薬ですが、服用者に毛髪増加の症状が見られたことから、のちにAGA治療薬として利用されるようになりました。

先発薬はプロペシア錠で、フィナステリド錠はプロペシア錠のジェネリック医薬品にあたります。

参照元：Kracie『フィナステリド錠0.2mg「クラシエ」、フィナステリド錠1mg「クラシエ」』

フィナステリド錠には0.2mgと1mgの2種類があります。両者の違いは有効成分の配合量ですが、1mgの方が効果を実感しやすいこと、また金額に差がないことから医療機関では1mgを処方するケースがほとんどです。

フィナステリドの効果と作用機序

AGAの発症には、男性ホルモンの一種であるテストステロンと5αリダクターゼと呼ばれる還元酵素が関与します。

両者が結合するとDHT（ジヒドロテストステロン）が生成され、髪の毛を作る毛乳頭細胞に脱毛シグナルを発します。

その結果髪の毛の成長期が終了し、髪の毛が太く長く伸びる前に抜けてしまうのがAGAです。

フィナステリド錠には5αリダクターゼを阻害し、DHTの生成を抑制するはたらきがあります。

DHTの生成を抑制することでヘアサイクルの乱れが正常化され、抜け毛や薄毛の予防効果が期待できます。

一般的には、2〜3ヶ月ごろから抜け毛の減少を感じ始め、6ヶ月程度で効果が実感できると言われています。

補足として、5αリダクターゼには

1. 全身に存在するⅠ型
2. 前頭部や頭頂部に多く存在するⅡ型

の2種類があり、フィナステリドはⅡ型のみに作用します。

また、フィナステリドはAGAの進行を予防するためのもので、その他の脱毛症に対する適応はありません。

フィナステリドを用いた治療例【画像あり】

頭頂部の薄毛が気になると受診された22歳の患者様の症例です。

サプリメントで対策を続けるも効果がなく、AGA治療を開始しました。当院オリジナルの維持治療を行っています。

治療法	オリジナル維持治療（フィナステリドorデュタステリド）
治療期間	11ヶ月
費用（税込）	8,250円
副作用の可能性など	リビドー減退、肝機能障害など

薄毛の進行を実感し、治療を決断した患者様です。

付き合いの長い友人から毛量の変化を指摘されたことが治療開始のきっかけとなりました。

治療法	オリジナル維持治療
治療期間	12ヶ月
費用（税込）	8,250円
副作用の可能性など	リビドー減退、肝機能障害など

頭頂部の薄毛を知人に指摘され、AGA治療を開始した患者様の症例です。

こちらの患者様は24歳（当時）ですが、AGAは若い方も発症する可能性があります。

治療法	オリジナル維持治療
治療期間	12ヶ月
費用（税込）	8,250円
副作用の可能性など	リビドー減退、肝機能障害など

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フィナステリドの副作用

フィナステリドは安全性が証明されている薬ですが、副作用のリスクはゼロではありません。

報告されている副作用には次のものがあります。

副作用の種類	発現率
男性機能の低下（リビドー減退）	1.1％（3/276例）
男性機能の低下（勃起機能不全）	0.7%（2/276例）
肝機能障害	頻度不明
過敏症	頻度不明

参照元：Kracie『フィナステリド錠0.2mg「クラシエ」、フィナステリド錠1mg「クラシエ」』

上記の副作用を具体的に解説します。

副作用1.男性機能の低下（リビドー減退）

フィナステリドを服用すると、まれに性欲減退や勃起機能不全といった男性機能の低下が見られます。

副作用と聞くと不安を感じる方も多いのですが、フィナステリドで性欲減退が見られる確率は1％未満と非常に低い数字です。

薬の臨床実験では、プラセボ（偽薬）でもほぼ同じ割合で性欲減退の副作用が見られたという報告があります。これは、副作用に対する不安や思い込みによって生じたものと考えられるでしょう。

また、フィナステリド服用中の妊活・子作りも問題ありませんので、安心して服用してください。

副作用2.肝機能障害

フィナステリドで肝機能障害が起こる可能性も極めて低いのですが、肝臓に持病がある方は注意が必要です。

これは、薬が分解される時に肝臓に負担がかかることが大きな理由です。肝機能に何らかの障害をお持ちの方は、そうでない方に比べて肝臓への負担が大きくなると考えられています。

肝臓に持病がある方へのフィナステリド投与は慎重に行う必要があるため、受診の際は持病について必ずご申告ください。

副作用3.過敏症

フィナステリドを服用すると、ごくまれに頭皮のかゆみや湿疹といった過敏症が現れることがあります。

過敏症は薬の成分に対して現れるアレルギー反応のようなものです。服用開始すぐに現れる方もいれば、長期的に服用を続けることで過敏症を起こす方もいます。

フィナステリド服用によって体調に異変を感じたら、無理に治療を継続せずに医師に相談してください。

フィナステリド・デュタステリド・ミノキシジルの違い

AGA治療薬は大きく分けるとフィナステリド・デュタステリド・ミノキシジルの3種類があります。

	フィナステリド	デュタステリド	ミノキシジル
医薬品名	プロペシア、フィナステリド	ザガーロ、デュタステリド	ミノキシジル
効果	Ⅱ型5αリダクターゼを阻害し、DHTの生成を抑制することで抜け毛を予防する	Ⅰ型・Ⅱ型5αリダクターゼを阻害し、DHTの生成を抑制することで抜け毛を予防する	発毛に関わる成長因子を増殖させ、発毛を促す。頭皮の血管を拡張し発毛を促す。
薬の種類	内服薬	内服薬	内服薬・外用薬
副作用	男性機能の低下、肝機能障害、過敏症など	男性機能の低下、乳房障害、過敏症、腹部不快感など	肝機能障害、動悸・息切れ、立ちくらみ、過敏症など

AGA治療薬には、薄毛を予防する「守り系」と発毛を促す「攻め系」の2つのタイプがあります。

フィナステリドとデュタステリドはどちらも守り系の薬で、薄毛ホルモンDHTの生成を抑制することで抜け毛や薄毛を予防します。

両者とも5αリダクターゼの阻害薬ですが、フィナステリドはⅡ型のみ、デュタステリドはⅠ型とⅡ型の両方に作用するのが特徴です。

同じ守り系の薬ではありますが、過去の臨床試験ではフィナステリドよりもデュタステリドの方が優れた効果を示したとの報告があります。

ただし、副作用の発現率もデュタステリドの方が高いことから、どちらで治療するかは薄毛の進行レベルや体質を確認しながら判断するのが一般的です。

攻め系のAGA治療薬ミノキシジルには髪の成長因子を増殖させ、発毛を促す効果があります。

ミノキシジルには内服薬と外用薬があり、患者様によっては守り系の薬を含め複数の薬を組み合わせて治療を行うことも検討します。

参照元：日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」

フィナステリド錠を通販・個人輸入で購入するのは危険？

以前から、AGA治療薬をはじめとする医薬品の個人輸入が問題視されています。

通販サイトを見ると海外製の医薬品が安く販売されており、効果が同じなら少しでも安いものを…と考える方は多いです。

しかしながら、通販や個人輸入の医薬品には以下のリスクが潜んでいるため、安易に入手することはおすすめできません。

• 成分が不安定である
• ニセモノが紛れ込んでいる
• 副作用が生じても救済給付が受けられない

有効成分が多い、または少ない薬を飲み続けても、期待するような効果は得られません。海外では正規品を模したニセモノも多く出回っている上、本物かどうかを見分けるのは非常に困難です。

また、通販や個人輸入で購入した薬で健康被害が生じても、国が定める救済措置を受けることはできません。

予期せぬトラブルを防ぐため、そして確実に薄毛を改善するためにも、AGA治療薬は医療機関で処方されたものを使用してください。

参照元：政府広報オンライン「健康被害などリスクにご注意！海外からの医薬品の個人輸入」

フィナステリドで抜け毛が増える「初期脱毛」について

AGA治療をはじめると、薬の作用で一時的に抜け毛が増えることがあります。

この現象は「初期脱毛」と呼ばれ、治療でヘアサイクルが正常化されることで起こるものです。

初期脱毛は、ミノキシジルという薬で起きやすい副作用ですが、フィナステリドでも一時的な抜け毛の増加を感じる方が見られます。服用開始後1〜2週間で抜け毛がはじまり、1ヶ月半ほどで落ち着くのが一般的です。

抜け毛が増えると聞くと、本当に薄毛が改善できるか不安に感じる方も多いでしょう。ただ、初期脱毛によって細く弱く育った毛がリセットされるため、あまり悲観することはありません。

あくまで一時的なものですから、抜け毛が落ち着くのを待ってじっくり治療を継続していきましょう。

フィナステリド錠の服用方法

フィナステリドの用法用量は1日1回1錠です。

通常、フィナステリド0.2mgを1日1回経口投与します。必要に応じて増量できますが、1日あたりの上限は1mgと定められています。

服用時間に決まりはありませんが、飲み忘れを防ぐために毎日同じ時間に服用することを習慣づけるのがおすすめです。

もし飲み忘れても2日分をまとめて服用する必要はありません。飲み忘れに気づいたタイミングから用法用量を守って服用を再開してください。

フィナステリドは、お酒を飲んだ後でも問題なく服用できます。ただし、過剰な飲酒は頭皮環境を悪化させる原因となるため、育毛の観点からお酒の飲みすぎには注意が必要です。

ただし、過剰な飲酒は頭皮環境を悪化させる原因となるため、育毛の観点からお酒の飲みすぎには注意が必要です。

フィナステリドの禁忌事項

以下に該当する方はフィナステリドを服用することができません。

• 20歳未満の方
• 女性
• フィナステリドで過敏症を起こしたことがある
• 献血を考えている・定期的に献血をしている

20歳未満の方への投与で、安全性および有効性は確立されていません。また、フィナステリドの適応は男性型脱毛症のみであり、女性が服用することはできません。

海外では閉経後の女性に対してフィナステリドの有効性を調べる臨床試験が行われましたが、有用な効果は得られなかったとの結果が報告されています。

フィナステリドは皮膚からも吸収されるため、女性がうっかり薬に触れることのないよう注意しましょう。

とくに妊娠中または妊娠の可能性がある女性や、授乳中の女性に対しては男性側の配慮も必要です。

もう一つ、フィナステリド服用中は献血ができません。（献血ができるのはフィナステリド服用中止1ヶ月後から）

参照元：日本赤十字社 福岡県赤十字血液センター「服薬と献血について」、プロペシア（PROPECIA）（男性型脱毛症用薬）に関する注意喚起について

フィナステリドにまつわるよくある質問

ここからは、フィナステリドについて多く寄せられる質問についてお答えしていきます。

治療効果の高いフィナステリドで薄毛を予防しよう

フィナステリドは、AGA発症のきっかけとなる5αリダクターゼを阻害し、薄毛の進行を予防する薬です。

安全性が高く、いくつかあるAGA治療薬の中でも比較的安価で購入できるので、気になる方は専門クリニックへ問い合わせしてみるといいでしょう。

当院では、一人ひとりに合った最善の治療法をご提案しています。「恥ずかしい」「クリニックに行く時間がない」という方は、ぜひ当院のLINEによる簡易診察をご利用ください。

早めの対処で薄毛の悩みを一緒に解消していきましょう。