植毛後のショックロスとは？ひどい人となかった人、その確率は？原因や対処法を紹介

ショックロスとは植毛手術後に施術箇所周辺の髪が抜け落ちてしまう症状です。

ショックロスは一時的なもので再び髪は生え揃います。ではどうして植毛後にショックロスが起こるのでしょうか。

「ショックロスがひどかった」「症状がなかった」など、症状の有無や程度はさまざまです。

そこで本記事ではショックロスの原因や確率・対処法などを詳しく解説します。

植毛後のショックロスとは

ショックロスとは、植毛手術のあとに他の髪の毛が抜けてしまうことを指しています。植毛した箇所ではなく、もとから生えていた髪の毛が抜け落ちる症状です。ショックロスは一時的なもので、しばらく経つと自然と新しい髪が生えてきます。

しかし、ショックロスと似た症状に「株の脱落」という症状があります。脱落とは植毛した箇所の毛が抜け落ちる症状です。脱落症状の場合は自然と髪が生えるケースは稀なため、混同しないように注意しましょう。

ショックロスと「株の脱落」の違いを簡単にまとめると、以下のようになります。

	ショックロス	株の脱落
場所	手術箇所の周囲の毛が抜ける	手術した場所の髪が抜ける
時期	術後2週間～4ヶ月程度	術後24時間前後
回復の見込み	一定期間で自然に回復	自然回復は稀

本記事では主にショックロスの原因や対策方法を解説します。株の脱落とは完全に異なるため、すでに症状が出ている方は上記の表を参考に、脱落の可能性がある場合は医師に相談しましょう。

植毛後にショックロスが起きる原因

ショックロスの原因はいくつか考えられますが、医学的に正確な原因は判明していません。原因として考えられる要素には以下のものがあります。

• 手術中の麻酔による影響
• 植毛した箇所の周辺で炎症が起きている
• 手術によるストレス

これらによってヘアサイクル（毛周期）が乱れ、一時的に髪が抜け落ちるというのが現在考えられている原因です。ヘアサイクルには「成長期」「退行期」「休止期」の3段階があり、休止期になると自然と髪が抜け落ちるようになっています。手術の影響で乱れたサイクルでも一定期間で再び成長期に入るため、半年程度で再び髪は生え揃うでしょう。

植毛後にショックロスが起きる確率

植毛後のショックロスは約20％の方が発症するというのが一般的な説です。女性の発症率が高く、髪が弱いとショックロスの確率が高くなるといわれています。しかし、ショックロスの発症には個人差があり、確率に関する医学的な根拠は示されていません。医師でも発症の可能性を見極めることが難しいため、事前の判断は困難でしょう。

植毛後にショックロスが起こる時期

ショックロスが起こる時期は、術後約3～4ヶ月で髪が抜けはじめます。ただし、発症時期には個人差があり、早ければ2週間程度で症状が現われることも。また、複数回植毛手術を受けた方でも、症状が出る時期にはバラつきがあったと報告されたケースもあるようです。

植毛後のショックロスの範囲と抜け毛の量

症状が出たからといってすべての髪が抜ける訳ではありません。平均的な数値はもとから生えていた髪の10～15％程度とされています。

抜け毛の量には個人差があり、ショックロスがあっても気にならなかったという人も。複数回植毛手術を受けた方のなかには、一度目と二度目で抜け毛の量が変わったというケースもあるため、時期や施術箇所によって左右されることが考えられます。

ショックロスの範囲は手術箇所と関係があり、「植毛をした箇所の周り」や「麻酔を打った箇所」などの毛が抜けるのが一般的です。また、細い毛が多い頭頂部は毛が抜けやすく、ショックロスの症状が出やすい傾向に。一方、植毛していない部分や側頭部は抜け毛が少ない部位とされています。

植毛後のショックロスが回復する可能性

ショックロスは一時的なもので、発症後約4～6ヶ月で新しい髪が生えてきます。生えはじめの毛は短く、すぐに元通りにはなりませんが、少しずつ周りの髪と馴染んで目立たなくなるでしょう。

せっかく手術を受けても周囲の抜け毛が始まると、かなりショックを受けるかもしれません。ショックロスにはストレスも関係している可能性があるため、「ショックロスは回復する」という知識を持って、抜け毛進行の懸念を和らげましょう。

植毛後のショックロスの予防法

ショックロスは医学的な原因は判明していないため、原因を完全に断つことはできません。しかし、症状を軽くしたり抑えたりすることはできるため、ここからはショックロスの予防方法を解説します。

植毛をあらかじめ複数回行う

植毛手術を数回に分けて行うことで、ショックロス発症のリスクを減らせる可能性があります。間隔を空けて頭皮の環境が整ってから、再度植毛手術を受けるようにしましょう。

手術の間隔は半年以上空けるのが理想的です。医師との相談や経過観察をしたうえで、次の植毛を受けてよいか確認しましょう。

治療薬やサプリメントを内服する

AGAが原因の薄毛は、治療薬の服用でショックロスのリスクを軽減できるでしょう。「プロペシア」や「ザガーロ」といった内服薬や「ミノキシジル」などの外用薬は、医学的に好ましい成果が報告されています。ただし、これらの治療薬は副作用を引き起こす可能性があるため、必ず医師と相談して下さい。

また、サプリメントで頭皮環境を健康な状態に整えることが、ショックロスの予防につながると考えられています。健康な髪の成長や頭皮環境を整えるため、不足した栄養素を積極的に摂取しましょう。

髪や頭皮を健康な状態に保つ栄養素には、以下のようなものがあります。

• ビタミン類
• ミネラル（主に亜鉛）
• コラーゲン
• ヒアルロン酸

これらの栄養素はサプリメントだけでなく、食事で摂取するのもおすすめです。ただし、サプリメントに直接髪を生やす効果はありません。症状が気になる方は医師に相談して下さい。

植毛後のショックロスの対処法

ここからはショックロスの対策におすすめの方法を説明します。植毛後のショックロスは一時的なものなので、髪が薄い箇所を隠すのがおすすめです。

帽子やかつらなどの使用がもっとも手軽ですが、使えるシーンは限られてしまいます。また「かつらがバレるのは嫌だ」という方も多いでしょう。下記で場所を選ばない対策方法や目立ちにくいかつらの選び方などを解説しているので、ぜひ参考にして実践して下さい。

ケラチンパウダーを使用する

ケラチンパウダーとは、髪の毛に似た人工繊維をつかった粉末で、髪にふりかけるだけで薄毛を隠すことができます。被り物とは違って違和感が少ないことも特徴の一つ。帽子をかぶれないシーンでも使用できます。カラーバリエーションもあるため、自身の髪に馴染むものを選ぶとより効果的です。

ケラチンパウダーは基本的に毛穴より大きく、毛穴詰まりを起こさないよう製造されていますが、もともと肌が敏感な方や炎症を起こしている場合はかゆみやかぶれといった症状が出るおそれがあります。気軽に購入できる商品ですが、使用する前に医師に相談しておくとより安心です。

帽子やかつらをかぶる

髪が生え揃うまでの対策であれば、帽子やかつらなどの被りものがもっとも一般的でおすすめの対処法です。しかし、帽子は仕事中や屋内では使いにくく、かつらは違和感が出やすいといったデメリットもあります。

違和感の少ないかつらを選ぶ際は、以下の項目を参考にして下さい。

• 毛材は「人毛」または「ミックス毛」がおすすめ
• つむじ部分に「人工皮膚」があると目立ちにくい
• 頭部のシルエットに違和感が出ない「毛量」が最適
• もみあげが深いかつらなら、顔周りの違和感が出にくい

これらが目立ちにくいかつら選びのポイントです。

かつらはケアを怠ると不自然なテカりが生じて、違和感の原因となる場合があります。また、暑い時期は蒸れやすく、頭皮環境を悪化させるおそれがあるため、なるべく通気性のよいものを選び、シャンプーなどで頭皮を清潔に保つことを意識して下さい。

周囲の髪の毛で隠す

ショックロスの症状が軽い方は、周囲の髪で隠すのもおすすめです。しかし、整髪料を使うとかえって薄毛が目立つ可能性があります。薄毛をカバーするときは、ドライヤーやブラシを使ってふんわりと仕上げることを心がけましょう。

ショックロスで髪が抜けている箇所によって、自然なスタイルは異なります。下記の記事では薄毛を目立ちにくくするスタイルやスタイリング方法を解説しているので、ぜひ参考にして下さい。

まとめ

およそ20％の方が植毛後にショックロスを起こすとされています。医学的な原因は特定できておらず、発症時期や症状の程度は個人差があるため、専門知識を持った医師でも可能性の有無を見分けることは困難です。しかし、ショックロスは一時的なもので、半年ほどで再び髪は生えるので安心して下さい。

また、ショックロスと似た症状として「株の脱落」という症状があります。植毛した箇所の毛が抜け落ちている場合は、株の脱落である可能性があり。こちらは時間経過で回復するケースは稀です。症状が出ている場合はショックロスと見分けて、医師に相談しましょう。